#688 食品表示法と原料原産地表示制度

平成27(2015)年4月1日に、現在の「食品表示法」が施行され、大きな変更点として、①栄養成分表示、②添加物表示、③アレルギー表示、④製造所固有記号などがありました。この食品表示法の経過措置期間は5年なので、令和2(2020)年4月1日から完全実施となります。また原料の原産地に対する消費者の関心の高まりを受け、平成29(2017)年9月1日から加工食品に対する⑤原料原産地表示制度がスタートしました。こちらは経過措置期間が4年7ヶ月なので、令和4(2022)年4月1日から完全実施となります。

どちらもそろそろ実施時期が迫っているので、小麦粉や乾麺について、気になった点だけを簡単にまとめてみました。詳細については、「大切です!食品表示(東京都)」、「早わかり食品ガイド(消費者庁)」、「新しい原料原産地表示制度(農林水産省)」などに詳述されていますので、ご参考になさってください。

【①栄養成分表示の義務化】
エネルギー(カロリー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5つの表示が必要となります。またナトリウム塩を使用していない食品については、ナトリウム表示が可能です(#527#528)。尚、乾麺は5%程度の食塩を含んでいますが、ゆでるとほとんど溶け出すので、ゆで後の食塩相当量を表示した方が親切です。

【②添加物表示のルール】
加工でん粉は、添加物なので原材料名表示は次のようになります:

(旧表示)原材料名|小麦粉、加工でん粉、食塩
(新表示)原材料名|小麦粉、食塩/加工でん粉

【③アレルギー表示のルール】
「卵、乳、小麦、落花生、そば、えび、かに」の7品目が特定原材料として、表示が義務付けられます。乾麺の表示で特徴的な点は、「本製品の製造ラインでは、そばを使用した製品も製造しています」という表現です。これは文字通り、「同じ設備を使用して、うどんやそうめんだけでなく、そばも製造している」ことを指しています。「そばが入っているかもしれません」という可能性表示は禁止されているので、一見何が言いたいのかよくわからない表現になっていますが、仕方ありません。

【④製造所固有記号】
「同一商品」を「2つ以上の工場」製造する商品は、「製造所固有記号」(「+」で始まるアルファベット)を利用することができます。また実際に製造所を特定できる手段(電話番号やURL)を提供する義務があります。

【⑤原料原産地表示制度】
使用した原材料のうち一番多い原材料には、原料原産地表示が義務付けられています。また原産地は、使用割合(重量)の多い順番に「、」で区切って表示し、原産国が3か国以上ある場合は、3か国目以降を「その他」と表示することができます。また独特の「可能性表示」や「大括り表示」があるので、消費者もある程度の予備知識が必要です(#548)。いくつか例を挙げます:

(例1)国内で製粉された小麦粉を使用した乾麺
      原材料名|小麦粉(国内製造)、食塩

(例2)国産小麦100%使用した乾麺
原材料名|小麦粉(小麦(国産))、食塩   (注意:小麦粉(国産)はNG!)

(例3)カナダ産小麦60%、アメリカ産小麦40%を使用した小麦粉
原材料名|小麦(カナダ、アメリカ)

(例4)香川県産小麦100%使用した小麦粉
原材料名|小麦(香川県産)

【⑥表示を行いその責任を負う者】
以上の表示内容に責任を負う者には次の4つがあります。
1.製造者・・・商品を製造する者。
2.販売者・・・商品を販売する者。この場合は、商品の製造者及び住所の併記もしくは、製造所固有記号の記載が必要です。
3.加工者・・・例えば仕入れたそうめんやでんぷんを小分けして袋に詰め販売する者。この場合は、加工者自身が、商品に対して責任を持つので、製造者を表記する必要はありません。つまり加工者は製造者と同等の扱いになります。
4.輸入者・・・商品を輸入する者。加工者と同等の扱いになります。