#687 製粉工場見学@興亜食糧

名古屋といえば、金鯱(金のシャチホコ)が有名ですが、業界関連だと連想するのが味噌煮込みうどんやきしめんです。味噌煮込みうどんは、赤い八丁味噌仕立てのつゆに、塩が入ってないうどんを放り込み、グツグツと煮たうどんで、山梨のほうとうや香川の打ち込みうどんに良く似たうどんです。また愛知県は、中小製粉工場が多く立地する地域、つまり中小製粉のメッカとして有名で、先日そのひとつ、名古屋の興亜食糧㈱さんを見学する機会に恵まれました。

興亜食糧さんの創業は、昭和14年創業(1939)、なんと今年で80期を迎える老舗の製粉会社です。聞くところでは、最初は米問屋をされ、マカロニ製造もされていたようですが、昭和61年にパンの製造を開始。社名が興亜製粉ではなく興亜食糧であるのは、小麦粉製造に加え、パン製造やその他の加工食品も販売されているからです。製粉工場は、これまで数多く見学しているという理由で、今回は製粉工場から車で30分程度離れたパン工場を見学させていただきました。

製パン工場では、社員15名とパートさん30名の合計45名がパン製造に携わっています。昨年までは、一般店にも販売していましたが、今年からは学校給食用パンに特化。昔は給食用パンといえば、コッペパンと相場は決まっていましたが、現在はロールパン、クロワッサン、ツイストロールパン、あいちの米粉パンなど全13種類もあり、かなりの手間暇を要します。またツイストロールは、ねじるのに更に手間がかかり、いずれにしてもこれだけの多品種に対応するには、どうしても人海戦術となります。また供給する地域が日によって異なるため、製造しない日もあれば、午前中のみとか、また多くなると21:00頃までかかる日もあり、その辺りの調整が一苦労とのことでした。

また最近の減塩傾向は、学級用パンにも波及し、学級用パンは現在既に減塩パン(小麦粉100gに対し食塩2%)になっていますが、これを更に食塩1.5%まで減塩するのが、目標です。学校給食において、小さい頃から薄味になれることが大切で、それが将来の生活習慣病予防に繋がるという考えです。そういえば最近、うどんに含まれる食塩についての質問もときどきあります。確かに茹でる前のうどんには、かなりの食塩(小麦粉に対し5%前後)が含まれているのは事実ですが、そのほとんどはゆで湯に溶けだし、うどんにはほとんど残りません。よって減塩を実践するなら、うどんつゆを飲み干さないことが重要です。

お土産には、愛知県産小麦「ゆめあかり」を使用したジャムパンをいただきました。ほんのりとした甘みのあるパンにジャムが入った懐かしい味わいは、小学生時代を思い出させてくれました。ところで愛知県は、全国有数の小麦産地です。R1年産に限ると、北海道、福岡県、佐賀県に次ぐ全国第4位。香川県の8,500㌧に対し愛知県はなんと28,000㌧。これも「味噌煮込みうどん」や「きしめん」といった独自のめん文化があるからでしょう。

現在、愛知県では2品種の小麦が栽培されています。主力の「きぬあかり」(R1産25,570㌧)は、めん用小麦品種として、愛知県農業総合試験場が開発。このきぬあかりを使用したうどんやきしめんは、色調が明るく、つるつるシコシコとした食感に仕上がります。地産地消の切り札として、現在売出し中。またもう一つの品種「ゆめあかり」(R1産2,380㌧)は、国産小麦ではめずらしいパン・中華麺用小麦です。試験場が平成13年から品種改良に取り組み、10年の歳月をかけて完成させました。パンの膨らみと中華めんのコシを生みだす3種のグルテニン遺伝子を有し、高いタンパク質含量が特長です。

「さぬきうどんも、味噌煮込みうどんやきしめんに負けんよう、頑張らんといかん」との思いを新たにしました。