昔の製粉方法は、小麦を挽いて、ふるいにかけるだけでしたが、現在は、1粒の小麦を40種類以上に取り分けます。これを段階式製粉方法といいます。

現代の製粉方法

昔の小麦製粉は至って簡単でした。小麦を石臼で挽いて、篩(ふるい)にかけ、網の目を通り抜けたものが小麦粉になりました。ただこの方式は簡単ですが、皮の部分が小麦粉に混ざってしまい、パンがごわごわして、食感もよくないという欠点がありました。表皮が混じると食物繊維やビタミン群などが摂取でき、健康に良いのは確かですが、充分すぎるほど食物繊維をとっていた先人達は、それよりももっと白くてふんわりとしたパンを食べたいと思うようになりました。

では「白くてふんわりしたパンを焼くにはどうすればいいか?」。これは表皮が混入することなく、小麦の胚乳部分だけを、いかに取り出すことができるかにかかっています。ところが石臼でいきなり小麦を小さく挽いてしまうと、胚乳も表皮も小さくなり取り分けが不可能になります。そこで先人達は知恵を絞り次のような方法を考案しました。つまり最初はできるだけ小麦を大きく割り、表皮を傷つけることなく、胚乳の塊だけをとりだします。そして次にこの胚乳の塊についている表皮の破片を取り除いてきれいにし、この胚乳の塊をだんだんと小さくして、最終的に小麦粉の大きさにまでしてやります。こうすることによって、表皮の混入を飛躍的に軽減することができました。

このように現在の小麦製粉は、小麦を少しずつ小さくし、段階的に小麦粉を作っていくので、「段階式製粉方法」とよばれています。この段階式製粉方法は、16~17世紀のフランスで始まったと言われています。この段階式製粉方法を実践しようとすると、その工程はかなり複雑になり、多くの機械装置が必要になります。現代の製粉工場が大規模化しているのはそのためです。以下はその現代の製粉方法の概略を説明いたします。

 

 

製粉工程図

製粉工程全体をイラストにした製粉工程図を掲載します。
こちらも併せてご覧になると製粉工程全体の流れが理解し易くなりますので、是非ご参照ください。

製粉工程図

製粉工程図 (クリックすると大きな画像で確認できます)

 

主な製粉工程

下記のタイトルをクリックすると詳しい説明へ移動します。

①小麦の搬入
港のサイロに保管されている「輸入された小麦」を山工場である弊社まで搬送・受け入れする場面を紹介します。

②小麦の精選
小麦が小麦粉になるためには、いきなり製粉するのではなく、様々な下準備を経た上で進んでいきます。

③小麦の調質
精選されて綺麗になった小麦は、加水して寝かされる事でより加工しやすくする工程へと進みます。

④小麦の挽砕(ばんさい)
小麦を大きく割る破砕、細かく粉にする粉砕の二つの工程(挽砕)を経てストックと呼ばれる状態になります。

④-2 ロール機と石臼との違い
現代製粉のロール機とそれまでに利用されていた石臼との違い。どういった違いがあるのかご説明します。

⑤篩い(ふるい)工程
前工程でできたストックは篩い機ことロール機によって、一度に様々な種類の粒度別に篩い分けていきます。

⑥純化工程
小さな表皮の破片である「ふすま片」をより確実に無くすためにピュリファイアーと呼ばれる機械を利用します。

⑦小麦粉の完成
ここまでくると最終的には40種類近い上がり粉に採り分けられて、さらにブレンドされていくことになります。

⑧小麦粉の再篩(さいふるい)
こうして貯蔵されると思いきや、実はさらに篩いにかけられます(再篩工程)。そうして貯蔵サイロへ移動します。

 

 

 

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