#548 加工食品の原料原産地表示の行方その②

f548#529において「加工食品の原料原産地表示に関する検討会」の結論は今秋までにでる予定であるとご報告しましたが、その方向性が決まりましたので、自身への確認の意味も含めて、ご説明いたします。原則としては、「全ての加工食品について、重量割合上位1位の原材料の原産地を義務表示の対象とする」こととなりました。よって小麦粉は小麦からできているので、その小麦の原産地(原産国)を表示しなければなりません。ルールは単純明快ですが、これを実行に移すとなると色々面倒なことが起こります。以下事例を交えながら説明にチャレンジしたいと思います。

①    【1種類の小麦だけを使用する場合】
これは一番簡単な例です。アメリカ産小麦だけを使用する場合は、次のような表示になります。全く問題ありません。
「原材料名:小麦(アメリカ)」

②    【2種類以上の小麦を使用する場合】
この場合は、使用割合(重量)の多い順番に「、」で区切って表示し、原産国が3か国以上ある場合は、3か国目以降を「その他」と表示することができます。例えば配合割合の多い順に、「アメリカ、カナダ、オーストラリア、国産」を使用していた場合は、以下のどちらでも良いことになります。この事例も全く問題ありません。
「原材料名:小麦(アメリカ、カナダ、オーストラリア、国産)」
「原材料名:小麦(アメリカ、カナダ、その他)」

③    【可能性表示】・・・(「又は」表示)
ここから話が少しややこしくなります。普通は、②の事例のように使用割合の多い順に「、」で区切ります。しかし使用比率が変わった場合は、表示変更が必要になるため、容器包装の変更が生じますが、これは面倒であるばかりか、資源の無駄にもつながります。そこで「大抵はこの順番だけれども偶に逆になることがある。しかし平均すればこの順番通りになる」という場合は、「又は」を使用し次のような可能性表示をします。
「原材料名:小麦(アメリカ又はカナダ)」

つまり原料小麦としてアメリカ産とカナダ産を使用し、普段はアメリカ産比率が多いけれど、偶にカナダ産の方が多くなることもある。しかし長期間でみるとアメリカ産が多いという場合です。もちろんこの「可能性表示」を使用するときは、実際には例えば過去1年間の使用実績のデータを保管し、この期間の使用量を平均すると確かにアメリカ産の使用量の方が多いという客観的事実を示すことが必要です。

④    【大括り表示】・・・(「輸入」表示)
この「大括り表示」は、3以上の外国の産地表示を「輸入」と括って表示する方法です。例えば、アメリカ、カナダ、オーストラリアの3種類の小麦を使用するけれど、その使用比率が異なることがある場合です。この表示方法では、外国の産地国名が表示されませんが、少なくとも「国産」か「輸入」かは知ることができるので、ある程度の有意な表示方法です。例を挙げます。
「原材料名:小麦(国産、輸入)」

このように表示すれば、国産小麦を50%以上使用していることになりますが、輸入原料については、アメリカ、カナダ、オーストラリアがどの重量比率が入っているかは不明です。しかし少なくとも国産原料が半分以上入っているので、情報としてはかなり有意だと考えるわけです。

⑤    【大括り表示+可能性表示】
これは③と④との組合せです。つまり大括り表示を使用しても、容器包装の変更が生じる可能性がある場合は、この方法を使用します。例を挙げます。
「原材料名:小麦(国産又は輸入)」

これは「又は」で繋いでいるので、可能性表示です。つまり普段は、国産小麦の使用量が多いけれども、偶に輸入小麦の使用量が多いこともある。しかし一定期間を通じてみると、国産小麦の使用量の方が多いという場合です。

先日地元新聞のコラムに、この原産地表示が取り上げられ、「道を聞かれて『右又は左』と答えると、聞いた方は怒りますよね」と書かれていました。確かに一般論としてはその通りです。しかしこの【可能性表示】と【大括り表示】を組み合わせるとこのような表現になってしまいます。容器包装を無駄にせず、かつできるだけ有用な情報をお届けしようとすれば、ある程度の予備知識を消費者の皆様にお願いする必要が生じるわけです。どうかよろしくお願いいたします。