#908 R6「さぬきの夢」推進協議会総会

「さぬきの夢」推進協議会(会長:桑原 仁香川県農政水産部部長)は、「さぬきの夢」新品種の生産振興及び早期実用化を目的に令和5年3月に設置されました。先日(令和6年5月16日)、令和6年度の総会が開催されましたので、以下気付いた点を簡単にご報告いたします。

【➀新品種「さぬきの夢2023」の登録完了】
香川県では、令和5年7月11日に「香育33号」を「さぬきの夢2023」としての品種登録を出願し、令和6年3月29日に正式に告知されました。これで「さぬきの夢2023」が正式に3代目「さぬきの夢」となりました。育成者権者は香川県知事、そして生産地域は「香川県内に限定」となっています。なお「香育33号」の父親は、「さぬきの夢2009」と2代目「さぬきの夢」の座を争った系統「香育20号」。また母方の祖母は、「さぬきの夢2000」の父親で、「さぬきの夢2009」の祖母でもある「中国142号」です。

【②「さぬきの夢2023」の導入スケジュール】
昨年(R5)は、高松地域で5.4haが栽培され(約25tが収穫)、その後工場製粉がおこなわれました。また今年(R6)は、5haが栽培され(15~18tの収量見込み)、同様に工場製粉が実施される予定です。今後はR7:100ha、R8:900ha、そしてR9は県内全域(2,500ha)において「さぬきの夢2023」が収穫され、導入が完了する予定です(画像参照)。

【③「さぬきの夢2023」の特徴】
「さぬきの夢2023」の育種にあたっては、「グルテニン」の遺伝子に着目し、DNAマーカーを用いた選抜技術が活用された結果、「適度なコシ」と「高い製麺作業性」が遺伝的な素質として持つことが確認されています。グルテンインデックスとは、「総グルテン」に占める「強いグルテン」の割合を指します。R2産「さぬきの夢2009」では、総グルテン18.5%、グルテンインデックス74.1%であったのに対し、R5産「さぬきの夢20023」では、総グルテン20.2%、グルテンインデックス81.4%とグルテンの質・量ともに「さぬきの夢2009」を上回っています。この「さぬきの夢2023」のだれにくさは、グルテンの吊り下げテストでも確認することができます(画像参照)。

一方、色調に関していえば、製麺テストにおいて従来よりも「ややくすみが強い」といった感想も聞かれました。これはR5 産固有の事例か、それとも「さぬきの夢2023」共通の特徴かは、断定はできませんが、個人的には後者のような気がします。「くすみ」は一般に国産小麦共通の特徴であるので、国産小麦らしい小麦とも言えるし、「あばたもえくぼ」なのかも知れません。

3代目「さぬきの夢」選定にあたっては、「製麺適性の向上」が大きなテーマの一つでしたので、総グルテン量・グルテンインデックス比率の高い「さぬきの夢2023」が選定されたのは、順当な結果であると言えます。ただ「グルテンが多い」ことは、他用途においては必ずしもプラスにならないこともあります。以下各2次ユーザーによる代表的な試作評価です。

<うどんユーザー>
切りや延ばし作業が改善され、製麺作業全般で「さぬきの夢2009」よりも高い評価を得た。ゆで伸びが遅く、コシの持続性が高まった。また麺の品質や食味が高く評価された。一方、色調が若干暗いため次年度以降の検証が必要。

<手延そうめん>
「さぬきの夢2009」では100%使用が不可であったが、「さぬきの夢2023」では100%使用のそうめん製造が可能となった。官能評価全般においても高い評価を得た。

<中華料理>
通常使用している小麦粉と比べ、作業性が高く評価された。また官能評価全般においても高い評価を得た。

<和洋菓子>
作業性や外観・食味においては概ね「さぬきの夢2009」と同等の評価を得た。一方、グルテンの性質が変化したため、「粘り」が強くなり、一部の菓子においては「膨らみ」や「サクサク感」がやや乏しくなったとの評価もあった。