#803 (Q)小麦粉はいつ値上げになるんですか?

小麦の国際価格が2008年以来の高値をつけたのを受け、小麦価格高騰のニュースがよく聞かれるようになりました。そのせいか(Q)小麦粉はいつ値上がりするんですか?という質問をよくいただきますので、現在の小麦価格の仕組みを簡単に説明いたします。小麦には輸入小麦(外麦、85%)と国産小麦(内麦、15%)の2種類があり、外麦については農水省が国家貿易制度により運用しています。売却方法はいくつかありますが、そのうち一番わかりやすくまた流通量の多いのが「相場連動制」、つまり国際価格に連動させる方法です。

現在、相場連動制による価格改定は年に2回、4月と10月に実施されます。算定方式は、価格改定月の2ヶ月前から遡ること6ヶ月の買付価格の平均となります。つまり2022年4月の改定価格は、2021年9月~2022年2月までの6ヶ月間の買付価格の平均となり、同様に前回の2021年10月の改定価格は、2021年3月~8月までの6ヶ月間の平均となります。簡単にいうと小麦の国際価格が半年のタイムラグにより反映されるイメージです。またもう少し詳しく説明すると下図のようになります。

つまり実際の販売価格は、買付価格に①港湾諸経費と②マークアップが上乗せされています。①はその言葉通り、実際に小麦を船で運んできて穀物サイロに入れるなどの必要諸経費です。また②は、国産小麦に対する補助金の原資となります。狭小な農地が多い日本では、地平線が見えるような広大な農地で耕作する諸外国と比較して生産効率が劣るため、補助金なしでは存続できないからです。先日お伝えしたように現在は、ロシア・ウクライナ両国で、世界の小麦輸出の30%を占めます(#801)。よって今回のウクライナ危機が、小麦の国際価格の高騰の一因となり、価格もさることながら、今後小麦の供給不足が懸念される状況においては、穀物自給率を維持するための補助金も理解が得られやすいと考えます。

さて小麦は輸入されてすぐに製粉されて小麦粉になるのではなく、各製粉会社は最低2.3ヶ月分の備蓄が義務付けられています。つまり悪天候で船が到着しない、事故で船への積み込みができないといった不慮の事故により予定通り到着しなくても、2.3ヶ月の備蓄があれば私達の食生活への影響はないだろうという考えです。更に製粉会社から食品会社に小麦粉が流れていくわけですが、当然各食品会社にもある程度の備蓄はあるので、結局小麦価格が末端製品に反映されるまでは、おおよそ半年近くがかかるわけです。

つまり今回、うどん、ラーメン、スナック菓子などの小麦粉製品が値上げされましたが、実はこれは前回(2021年10月期)の値上げ(+19.0%)が、反映された結果です。そして今回(2022年4月期)も再度+17.3%の値上げとなりました。よって今回は小麦も小麦粉製品も同時期に値上げが発表されたので、小麦の値上げが即小麦粉製品の値上げに繋がったと誤解された方もいるようですが、実はそうではありません。よって申し上げにくいのですが、今後半年後には更なる小麦粉製品値上げの可能性が高いと思います。

前回、今回と度重なる小麦の値上げにより、うどん専門店もうどん価格を改定せざるを得ない状況となっています。ただうどん一杯の小麦粉価格はというと、20円程度です。そして今回の小麦価格の値上げ17.3%が各小麦粉製品へ及ぼす影響といえば、農水省の試算によると、食パン1斤(+2.6円)、うどん一杯(+1.0円)、中華そば一杯(+1.0円)、小麦粉1kg(12.1円)とそれほど大騒ぎするような値上げとも思えません。ところが実際は、円安の影響も受け、天ぷら粉、醤油、みそ、包材などありとあらゆる原材料価格が上昇しているので、ある程度の価格改定は必至といった状況です。小麦粉はうどんの主原料であるため、値上げの説明がしやすいことが、注目される理由ではないかと思います。