#897 シリアル食品のまとめ

シリアル(cereal)食品とは、トウモロコシ、オーツ麦(エンバク)、小麦、大麦、米などのシリアル(穀物)を加工して食べやすくした簡便食のことです。これらの穀物はそのままでは硬くて食べにくいので、①押しつぶして薄い破片(フレーク)にする、②パフ化する(後述)、③混ぜ合わせてシート状にしてから砕くなどなどの処理をします。最近は健康志向を反映してか様々なシリアル食品が登場しているので、それらを整理してみました(ここでは紹介できなかった大麦、米のシリアル食品も沢山あります)。

①オートミール(Oatmeal)
オーツ麦を脱穀して平たく押しつぶし、加工しやすいようにしたもの。原材料はほぼオーツ麦だけというシンプルかつローカロリーシリアル。

②ミューズリー(Muesli)
オーツ麦にドライフルーツやナッツなどを加えて食べやすくしたもの。もともと1800年代後半にスイスでマクシミリアン・ビルヒャー・ベナー博士によって考案されました。

③グラノーラ(Granola)
オーツ麦にナッツやメープルシロップなどを加え、一度オーブンで焼き上げたもの。グラノーラという名前は1870年代にかの有名なケロッグ博士によって命名されました。彼は、オーブンの底に落ちたパン粉をリサイクルできることに気づき、集めたパンくずをボウルに入れて朝食に出すことにしました。そこでケロッグ博士は、この発明をgranula(顆粒)と呼びましたが、この名前は既に商標登録されていたため、グラノーラに変更したとのエピソードがあります。①、②、③はいずれもオート麦が原料ですが、①<②<③の順に加工度、カロリーともに高くなります。

④コーンフレーク(Corn flakes)
乾燥させたトウモロコシを細かく挽いた粉はコーンミールと呼ばれ、メキシコの伝統的な薄焼きパン・トルティーヤの原料となります。そしてこのコーンミールを水で練り、加熱圧搾して薄い破片に成型した食品がコーンフレークです。

⑤ブランフレーク(Bran flakes)
小麦の表皮、つまり小麦ふすまを加工したフレークです。

尚、これらシリアル食品に欠かせない機械が、パフ製造機です。パフ(puff)には「ふわっとしたもの」とか「ふわっと焼いたケーキ」といった意味があります。穀物はそのままでは硬くて食べられないので、パフ製造機を使用して軟らかく加工します。このパフ製造機には主として2つの方法があります。

【①パフ製造機(圧力釜使用)】
圧力釜を回転させながら高圧加熱し、内部の圧力を一気に開放することで、原料に含まれる水分が瞬時に蒸発し、激しい爆発音とともに膨化します。ポン菓子やポップコーンのように、爆ぜた(はじけた)形状や元の原料が大きく膨らむことが特徴です。圧力釜の蓋を開けるときに「パーン」と大きな音がするからか、それとも「パッ」できあがるお菓子だからなのかは不明ですが、香川ではポン菓子のことを「パットライス」といいます。昔はパットライスのおじさんがやってくると子供たちが群がり、圧力釜が「パーン」と開くのを、固唾をのんで見守っていました。

【②エクストルーダー(押出機使用)】
こちらはエクストルーダー(extruder)という押出機を用いる押出成形方法です。フィーダー部分から粉末原料や素材を投入し、スクリュー回転で混合され、加熱されながら機械の中を移動します。出口の手前で最も高い圧力がかかり、細い出口から外部に押し出されるときの急激な変化に伴い、膨化する仕組みです。スナック菓子やパスタやマカロニ、ペットフードなどがこの製法で作られています。原料を一度粉末化し、その他の素材と混ぜ合わせて膨化させるため、汎用性がありますが、元の原料本来の形はわからなくなります。