#887 「『食』が動かした人類250万年史(新谷隆史一著)」・・・②

引き続き、本書の内容をまとめて後に、簡単な感想をかきました。

【④パンの誕生】
現代のパンは、発酵パンですが、人類が最初に作ったパンは単にこねて焼いただけの「無発酵パン」です(BC6000年~BC4000年頃の古代メソポタミア)。古代ローマにパンが伝わったのは、BC2世紀にローマ軍がギリシアに侵攻したときです。奴隷として連れ帰ったギリシア人によりパンの作り方がローマに伝えられました。ギリシアではカーンという回転式石臼が発明され均一な小麦粉の生産が可能になりました。そして古代ローマで、パンはより洗練された食べ物になっていきますが、その要因は良質の小麦粉を作る技術開発です。馬のしっぽの毛を使った「ふるい」が発明され硬い表皮部分を取り除くことが可能になり美味しいパンを焼くことができるようになりました。最盛期にはローマ市内には200を超える製パン所が稼働。

【⑤ギリシアを手本にしたイスラムの科学】
ギリシア文化を受け継ぎ、さらい発展させたのがイスラム国家です。プラトンがBC387年に創設した学園「アカデメイア」は529年に、約900年の歴史に幕を閉じますが、その活動はササン朝ペルシアに、さらにはイスラム国家へと引き継がれ、11世紀までには、イスラムの科学は空前の発展を遂げます。蒸留酒は、発酵で造った醸造酒を蒸留することで造られます。蒸留酒はインダス文明やメソポア文明でも造られていましたが、技術的には稚拙で、その技術はイスラム国家で完成されました。

【⑥世界一の穀物トウモロコシ】
コメ、コムギ、トウモロコシは世界三大穀物とよばれています。このうち生産量に着目すれば、トウモロコシは世界一の穀物です。アメリカ大陸ではトウモロコシの栽培はBC6000年頃に始まったと推測されています。コロンブスは1492年の最初の航海時にトウモロコシをスペインに持ち帰りました。トウモロコシは、16世紀半ばには地中海沿岸に広がり、16世紀末までにはイギリスや東ヨーロッパ、そして1900年までにはアフリカ全土で栽培されるようになります。

【⑦イモの王様ジャガイモ】
ジャガイモは世界で一番食べられ
ているイモです。祖先は標高3,000メートル以上で育つ雑草だったと考えられていて、1570年頃に新大陸からスペインに持ち込まれたという説が有力です。そして18世紀にはヨーロッパのほとんどの国で栽培されるようになります。また日本には1600年頃にインドネシアのジャカルタを拠点にしていたオランダ人によって伝えられたという説が有力です。

【⑧救世主となったサツマイモ】
サツマイモはメキシコからペルーにかけてBC3000年頃に栽培化されたと推測されています。ヨーロッパへは15世紀の終わりにコロンブスが持ち帰ったと言われていますが、暖かい気候を好むサツマイモはヨーロッパの冷涼な気候には適さず、ほとんど栽培されませんでした。一方、アジアでは、16世紀にヨーロッパから中国に伝わり、日本では1600年頃に中国から琉球に伝わり、それが薩摩に持ち込まれたというのが定説です。サツマイモはやせた土地で育つことから「救荒作物」として多くの国で人々の命を救ってきました。

【感想】
ストーク先生によると、ローマ時代になり初めて完全な発酵パンができました。そして人類史上初めて小麦の消費が大麦を上回りますが、これは発酵パンが発明されたことに加え製粉技術が発達したのが理由です。もちろん発酵パンといっても現代のふわふわパンではなく、平たいパンでどちらかというと現在のペストリーに近いパンです(画像参照)。多くの発明品がそうですが、パンを焼くのと醸造技術が偶然重なり、発酵食品つまり本物のパンが生まれたのです。「パン(bread)」と「醸造する(brew)」という二つの言葉は似ていますが、それらは「broth(スープ)」、「boil(ゆでる)」、「burn(焼ける)」などと同様、語源は全て同じで、その根本は「発酵」という考え方です。