#840 2022年今年の三大ニュース

早いもので今年もあと数日を残すのみとなりました。今年も皆様には一年間お世話になりました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。他地域も同様ですが、今年はうどん県においても、主原料の小麦粉を始め、てんぷら油、包材、燃料代などが軒並み高騰しました。特にてんぷら油は2倍近くにもなり、その結果うどん店は値上げを余儀なくされました。来年はなんとか平穏な年に戻ってもらいたいと願うばかりです。

さて例によって今年の業界3大ニュースを独断でチョイスしました(香川県内の10大ニュースは最後にアップ)。それではみなさんどうか良い年をお迎えください。来年もよろしくお願い致します。

【2022年独断の業界3大ニュース】
①ウクライナ危機による小麦の国際価格高騰(#801)
直近(2021/22年度)では、世界中で7.88億tもの小麦が生産され、この内6.5億tが食用小麦となります。そして小麦生産量のうち25%に当たる1.96億tが輸出に回ります。驚くべきことにロシアとウクライナ両国の輸出量は0.586億tになり、これは総輸出量の30%を占めます。よって両国からの輸出が滞れば、供給不足は必至でこれが現在の小麦価格高騰の主因です。日本は両国からは輸入していませんが、国際価格が高騰したため、間接的に大きな影響を受けています。

②さぬきうどん一杯の価格は279.6円(#820)
地元紙(四国新聞)ではうどんの価格調査を定期的に行っています。今回の調査は2019年10月の消費税アップ以来、3年ぶり。改めて説明するまでもなく、今回は①ウクライナ危機②原油高③円安が要因となり、うどん県のうどん価格も値上げせざるを得ませんでした。

ただ従来の値上げと異なる点は、値上げがこれで終了したわけではなく、引き続きの値上げが予想されることです。小麦粉もさることながら、それ以上に食用油、食肉の値上げが大きく、「肉うどんは売れば売るほど赤字」というお店も多く、どこのお店も対応に苦慮しています。それにしても多少値上がった感のあるうどん県のうどんですが、相変わらずコスパは良好で、お店によっては「この価格で本当に経営できるのか?」と感じる良心的なお店もあります。以下、今回の結果を簡単に総括すると、次のようになります:

(1)100店舗の平均価格は、前回より21.3円上がり279.6円。
(2)2019年以来、69店舗が値上げを実施し、内9店舗は2回の値上げを実施。
(3)セルフ店は21.3円上がり、244.9円(個人的には、セルフかけうどんは220円・・・)。
(4)一般店の21.3円上がり、360.5円(個人的には、実際よりも高く感じます・・・)。

③「さぬきの夢」後継品種決定(#831)
うどん県は、10月6日、うどん用県産小麦「さぬきの夢2009」の後継品種を選定したと発表。県の説明によると「後継品種は、従来品種よりもタンパク質の含有量が多く、製麺時の生地の伸びにくさを改善。食味良好。早ければ2025年産から本格栽培に入る予定。またうどん以外の食品にも活用の幅を広げる考え」とのことです。新品種選定の目的は「従来品種よりもタンパク含有量が多く、よって作業適性の向上」です。

「さぬきの夢」とは香川県で開発されるうどん用オリジナル小麦の総称です。香川県農業試験場で開発されている小麦品種には、順番に「香育◯◯号」という系統名がつけられています。また「香育(かいく)」とは香川県農業試験場で育種されたという意味です。少しややこしいですが、初代「さぬきの夢」は2000年に開発された「さぬきの夢2000」(以下、夢Ver.1)でこれは香育7号。また現在流通している「さぬきの夢」は、製麺適性が向上した2代目「さぬきの夢」(品種名は「さぬきの夢2009」、香育21号)です(#286)。そして新品種である夢Ver.3は、グルテニン含有量が多く粒張りも良い「香育33号」となりました。品種名は未定ですが、これまでのルールに従うと「さぬきの夢20XX」(XXは登録年次)となるはずです。