#827 複合ロール機の重要性

乾めんの製造は、①混捏工程⇒②複合ロール機(以下、複合機)⇒③熟成工程⇒④圧延工程⇒➄切出工程⇒⑥乾燥工程⇒⑦裁断工程⇒⑧結束工程⇒⑨包装・計量・梱包工程という一連の工程を経て製品化されます。詳細は、当サイト内の「乾麺のできるまで」をご覧ください。製造過程をみればわかるように、乾麺は基本的には生地をひたすら圧延方向に延ばしながら成型しますが、唯一の例外が複合機による圧延です。よって今回は、②複合機の働きについて着目します。

手打ちうどんの加水率は、45~50%であるのに対し、乾めんは35~40%と低くなっています。業界では前者を多加水、後者を低加水といいます。ちなみに加水率50%というのは、小麦粉1kgに対し塩水500gとなります。加水率50%の生地はかなり柔らかく手作業で十分に加工できるのに対し、40%の低加水は手作業では歯が立たず、機械の力で無理やりにまとめ上げる感じです。乾めんで多加水の生地を使用すると、生地がロールにくっつき、麺を吊るしたときにだれてしまい、作業性が良くありません。

一般に多加水であれば水和(水回し)がうまく進みます。また手打ちの程よい圧力は、理想的なグルテンの立体網目構造を形成するので、手打ちうどんは理にかなったうどん製法といえます。一方、前述したように乾めんは、製造工程上どうしても低加水にならざるをえません。よって限られた量の塩水をできるだけ均一に小麦粉と混合し、最大限に有効利用する必要があります。

さて前置きが長くなりましたが、乾めんの製造工程でミキシングが終了した生地は、供給機により複合機に送られます。図にあるように生地を2組のロールで麺帯に加工し、その2枚の麺帯を比較的大きなロールに通すことで1枚の麺帯にします。つまり2枚の粗麺帯(そめんたい)を合わせて、1枚にすることから複合機と呼ばれています。複合機は単に2枚の麺帯を1枚にするだけですが、低加水製麺においては重要な役割を担っています。

つまり低加水でミキシングした生地は、一つにはまとまらず、石ころのような生地がバラバラになった状態で存在しています。そしてもしそれを単にロール機だけを通すと、石ころと石ころのある隙間の空間は、麺帯の「穴」となってしまいます。更にその後の圧延工程では、生地をただ同一方向に圧延するだけなので、その穴は圧延方向に伸びるだけで、決して埋まることはありません。よって最終の切出し工程では、麺線はその穴のところでカットされるため、吊りあげたときにバランスが崩れ落下、つまり落麺となります。

しかし図のように、粗麺帯を2枚重ねるとほとんどの穴は塞ぐことができます。つまり片方の穴はもう片方の粗面帯で埋められ、両方が穴の場合にのみ穴となります。その結果2枚の粗麺帯を重ねることで、ほとんど均一な生地となり、穴の部分はほとんどなくなります。また2枚の粗麺帯を重ねることは、手打ちうどんの工程において、足踏みした生地を折り返すことと同じことなので、グルテンの網目構造を稠密にする効果もあり、結局しっかりとした生地を形成することになります。このように複合機は、乾めん製造工程では、不可欠な重要工程であることがわかります。

今回、複合機の機能に着目したのには理由があります。実はあるユーザから落麺が多いとの問い合わせがありました。小麦粉に問題はなかったので、製造工程を確認すると、①複合機ではなく単なる圧延ロール機を使用、②熟成工程の欠如、③塩水濃度が低いなどの問題点が見られました。そしてこれらを対応する中で、改めて複合機の機能を再確認するに至りました。今回の不具合の主因は、塩水濃度が低いためにグルテン強度が十分でなく、その結果落麺が多く発生しているようでした。この解決策としては、ミキシング後の状態で暫く放置することによる熟成工程の代替、塩水濃度の調整等で改善を図ることができました。よって複合機を導入すれば更に落麺は、減少するはずです。