#642 スラムダンク

全粒粉は文字通り、小麦の粒をすべて挽きこんだ小麦粉のことです。しかしそのまま挽くと、小麦表面に付着している異物も混入し、雑味が気になります。そこで胚乳部分と表皮部分を分別処理し、小麦と同じ比率に戻すと、すっきりした風味に仕上がります。先日、全粒粉を使用した乾麺を製造しましたので、後日報告いたします。さてイラスト担当者による新着情報をお届けします。
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気付けばもう11月。今年も残すところ僅かとなりました。皆さんは今年中にやり残したことはありませんか?私はギターという新たな趣味を持つことができ、とっても満足していますが、最近新たに夢中になっているものがあります。それは漫画「スラムダンク」です。ただ私は小さい頃から今まで、漫画というものに何の魅力も感じずに過ごしてきました。漫画を勧められても、性格に合わないのか、あまり興味が湧かず数ページで飽きてしまうのです。

しかしここ数年、漫画に対する興味を、ジワジワと持ち始めていました。というのも、短期間ながら通っていたデザイン系の専門学校でできた仲間は、その大半がこれぞ「オタク」といった人たちで、漫画やアニメの話題でよく盛り上がっていました。オタクと言うと、何故かちょっと暗そうなイメージがありますが、それは大間違いです。オタクとはある分野においてコアなファンのことを指し、友人たちの熱い話を聞いていると、羨ましくなります。そんなこんなで、漫画に対する考えが少し変わってきたところでした。

そして先日、何と誕生日に、友人からプレゼントされたのがスラムダンクの第1巻でした。スラムダンクは1990年から1996年にかけて、「週刊少年ジャンプ」で連載されていた漫画で、漫画を読む人なら勿論、読んだことがない人でも、名前位は聞いたことがあるはずです。私は学生の頃から、友情や絆といった、浪花節的な事柄には人一倍胸が熱くなるタイプだったので、漫画デビューは少年漫画と決めていました。しかし何から手をつければ良いか分からず、流れそうになっていた矢先でした。

スラムダンクはいくら王道とはいえ、えらく渋いチョイスだなあと思うかもしれません。しかし今年の6月から9月にかけて新しい表紙イラストと巻編成(30巻→20巻)となった「新装再編版」が発売され、今でも店頭の目立つところに置かれているのです。第1巻の時点では読み慣れていないせいか、意気込んだ割にモタモタと時間がかかってしまいましたが、気付けばその世界観にどっぷり浸かってしまい、手元に次の巻がなくなると軽く禁断症状がでるまでになりました。

これまでスマホを見ていた電車の移動時間が、漫画へとガラリと変わりました。最初は恥ずかしさもありカバーをつけて読んでいましたが、やがて謎の誇らしさが自分の中でふつふつと湧き上がり、堂々とイカツイ表紙を掲げながら読むまでに成長しました。ある日山手線の電車の中で読んでいると、今時の若者といった感じの20歳くらいの少年2人が入ってきました。「スラムダンクとか懐かし〜」「やっぱスラムダンクいいよな〜」「いや、聞こえてるだろ」と言うものだから、思わず「最近読み始めたけど、いいですね」と話してしまいました。私よりずっと若そうな子たちも読んでいたのか・・・と驚いていると、彼らは原宿の街に消えて行きました。 

王道の少年漫画だから、喧嘩のシーンも出てくるし、キャラクターの顔もなかなか癖があります。しかしセリフは驚くほど心に響くし、なんと敵チームにまで情が入ってしまうほどです。あと6巻で終わってしまうのが実に心寂しいですが、1巻1巻噛み締めながら読み進めています。それにしても当時の少年ジャンプ連載中の読者たちは、よく毎週辛抱強く待てたもんだなあと感心します。しかしだからこそ、一層ワクワクドキドキしながら一週間待ち続けることもできました。秋の夜長、鍋焼きうどんをすすりながら、懐かしい漫画でもいかがですか。