#620 さぬきうどんの価格2018年版・・・一杯239.9円

f620先日、地元紙・四国新聞にて2018年版のさぬきうどん価格が公表されたのでご報告します。これは代表的なうどん店100店を対象に定期的に実施している価格調査です。具体的には、四国新聞が運営しているうどんサイトのアクセス上位店を中心に、地域性も考慮しながら、セルフ・製麺所70店、一般店30店を選びそのかけうどん一杯の価格を比較します。

全平均価格は、239.9円と前回(2016年)と比較しても僅かのアップ、また5年前と比較してもほぼ同じです。よって価格は大差ないようですが、実はそうとも言えません。セルフ店と一般店を分けて比較すると、違いがよくわかります。5年前と比較すると、一般店は309.6円↑317.8円(102.6%)とほぼ同じであるのに対し、セルフ店は174.6円↑206.6円(118.3%)と、約20%の大幅アップです。セルフ店は、元々価格を安く設定しているため、原価率が高く、その結果原材料費の影響を大きく受けます。
かつては1杯100円のうどんもちらほら見かけましたが、今ではほぼ姿を消しました。お土産うどんの売り場を併設している特殊な場合を除き、セルフ店単体での商売となると、どんなに頑張っても、1杯180円辺りが限界であろうと察します。「安くて旨いさぬきうどん」ではありますが、その価格には自ずと限界があります。そして記事によると、現在のセルフ店は次のような問題点が抱えているようです。

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①価格問題
5年前と比較して、セルフ店では30円程アップしてはいるものの、原材料の上昇を吸収するまでには至っておらず、苦しい経営状態のお店が多い。値上げをしたくても競合が厳しい中、ライバル店がそのままなので、なかなか値上げに踏み切れない。

これは個人的な感想ですが、一杯200円のうどんでは、どんなに頑張っても、うどん出汁の品質には限界があります。首都圏のように一杯500円であれば、イリコ、かつお、昆布、しいたけをふんだんに使った、旨い出汁の提供が可能です。しかしコスパを追求したセルフ店では、専門店のうどん店と同じ品質の出汁を提供するのは困難です。旨い出汁で最高のうどんを提供したいが、価格的には無理があるのが実情です。ここに現在のセルフ店の悩みがあります。でも一方で200円でも、それなりに美味しい出汁を提供しているお店があるのも事実です。なんとか頑張ってほしいところです。

②労働力不足の問題
労働力人口そのものが減少しているのに加え、景気の持ち直しもあり、労働力不足は、さぬきうどん業界においても問題化しています。人手不足のため丸亀市内のセルフ店は、営業時間を2時間短縮しました。単価の安いうどんだけに、人件費の高騰は利益圧迫に直結します。うどん価格を据え置けば、パートの時給は上げられず、よって人手は集まらない。この労働力の不足感が、現在のうどん屋さんが抱えている悩みです。

③インバウンド効果
最近のインバウンド効果は、さぬきうどん業界にも波及しています。中には、レンタカーを借りて山間部のうどん店にまでこられる外国人もいます。また高松市内では週末になると、外国人が連れ立って来店することもあります。うどんがグルーバルになるのは嬉しいことですが、良いことばかりではありません。多くのうどん店はでは、毎日の仕込み量が決まっています。つまりうどん玉が無くなった時点で「売り切れ御免」となります。

一見さんが見えると、客の流れが一時的に停滞し、それだけ常連さんに待ってもらうことになります。店主としては、そんな状況が常連さんに対し、申し訳なく感じるといいます。しかも外国人の一見さんとなると、言葉の違いもあり、渋滞が一層大きくなります。店主としては丁寧に対応したい気持ちは山々ですが、人手不足で対応が難しく、心苦しく思っているそうです。

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