#522 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2016

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン

イラスト担当者による新着情報をお届けします。GW中に開催されたクラシックの音楽祭についての報告です。東京にいると様々なイベントが年がら年中開催されていて、地方に住んでるものにとっては羨ましい限りです。しかし香川には毎日自転車を漕いでも飽きない山々とうどんがあります。
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5月3日~5日の3日間、東京国際フォーラムを中心にラ・フォル・ジュルネが開催されました。ラ・フォル・ジュルネは、1995年、フランス西部の港町ナントで誕生したクラシック音楽祭。「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」のネーミングそのまま、ヨーロッパの数ある音楽祭の中で最もエキサイティングな展開を見せています。そしてここ日本では、毎年このGW期間に多くの人が訪れるクラシック音楽の祭典となり、最近は一般の人々の認知度も高くなってきました。

f522_22日の前夜祭を皮切りに、期間中は実に多くのプログラムが用意されています。演奏者には、海外オーケストラや今注目の若手音楽家、また音楽大学の学生等、多士済々が勢揃い。公演は有料と無料のものがあり、有料公演は当日券がほぼ売り切れていることからも、ラ・フォル・ジュルネの人気度が窺えます。一方、無料公演は商業施設のロビーや野外ステージが主な開催場所で、よりカジュアルにクラシック音楽に親しむことができます。

同イベントが支持される理由を、実際足を運んでみて様々な場面で感じることが出来ました。1つ目はプログラムの多さです。時間帯にもよりますが、徒歩で移動できる範囲内で約5つの公演が同時進行しているので、パンフレットを見るだけでもワクワクします。そして実際に聴いてみて、自分には退屈だな、他の演奏も聴いてみたいな、と思えばすぐに他の公演に移ることできるのは、大きな魅力です。一般的なコンサートではこうはいきません。自ら選べる楽しさや気軽さがウケているのです。

f522_32つ目は、生のクラシック音楽が街並みの一つとして馴染んでいることです。東京国際フォーラム周辺の有楽町・東京駅はオフィスや商業施設が多く建ち並んでおり、普段から人の行き交いが多いエリアです。イベントを知らずに、ただ買い物目的で訪れた人も、生でコンサートをしているとつい足を止めてしまいます。クラシック音楽が上品でお堅いというイメージを持っている人はまだまだ沢山いらっしゃいます。そんな普段コンサートホールに足を運ばない人たちにとって、行き慣れた場所で同様の体験が出来ることは、意外かつ新鮮な体験であり、クラシック音楽のイメージを良い意味で変えることができると感じます。

3つ目に、音楽以外の要素も取り入れていることです(ここでは「食」)。「花より団子」ではありませんが、野外では屋台がところ狭しと並び、多くの人が飲食を楽しんでいました。屋台の近くにも野外ステージがあり、食事しながら演奏を聴くこともできるし、美味しそうな匂いにつられてやって来たら、たまたま演奏に居合わせてクラシック音楽に興味を持った等、さまざまなきっかけが絡み合い、クラシック音楽に接することができます。

f522_4このように、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンはクラシック音楽の祭典としては、かなりいい線をいっています。ただ残念なことは、こういった実際に一般の人々が気軽に接することができるクラシック音楽イベントは、日本ではまだまだ限定的で発展途上だということです。音楽そのものが変化する中で、その音楽を演奏する場所や接する機会の提供方法も、これからどんどんダイナミックに変化すれば、人生がもっと楽しく実りあるものになると思います。