#395 製粉工場見学@セントラル製粉

f395先日、製粉工場見学の機会がありました。工場見学は色々参考になることが多いので大好きですが、特に同業者の場合は、いやがうえにもテンションはあがります。自社とどこが違うのか、自社の工場に何が足りないのか、またどうすればもっと良い製品を作ることができるのか等々、重要なヒントを与えてくれ、とっても貴重な経験になります。今回お邪魔したのは、名古屋にあるセントラル製粉さんです。

これまで何度も申しましたが、製粉産業は装置産業としての傾向が強く、時代とともに大規模化が進み、中小製粉は、除々に影が薄くなりつつあります。50年ほど前の1965年には434社あった製粉会社は(新着情報#110)、直近ではなんと60社程度にまで減少しました。しかも現在では上位4社で全体の75%を占めるほど寡占化が進んでいます。製粉工場数を大規模化するメリット(よって工場数は現象)はなんといっても、操業度を高めれば高めるほど、生産コストが下がるからです。規模が大きくなればそれだけ省力化できます。また製粉工場には沢山の機械装置等があり、そういった設備投資を少しでも早く償却しようとすれば、稼働時間を上げるのが唯一の方法です。

セントラル製粉「それじゃあいくらでも規模拡大すればいいんじゃないですか?」と問われると、私たち中小製粉は、「いいえ、私たちは小さいながらもそれぞれ特長ある小麦粉を提供しています」とお答えすることになっています。「所変われば品変わる」で、たとえ同じ小麦であっても、製粉する工場によって、独自のクセというか特徴があるので、品質も少しずつ異なります。ですから中小製粉はそういった、中小ならではの特長をだすことで、その存在価値を訴求しています。そしてそのトレードオフは、製造コストが若干アップすることですが、その点を市場に認めてもらえるかどうかに私たち中小製粉の命運がかかっています。

現在、地域密着型の中小製粉は、かなり少なくなりましたが、その中で愛知県は都道府県の中では一番多い7社と頑張っています。これはひょっとすると味噌煮込みうどんパワーのお陰かも知れません。私たちの香川県は3社ですが、これは人口を考慮するとかなり健闘していますが、これもやっぱりさぬきうどんの影響なしには考えられません。

トレードマークのこうのとり

ところで今回見学させていただいたセントラル製粉さんは、他の中小製粉にはない大きな特徴が2つあります。ひとつは中小製粉唯一の「海工場」であること。つまり埠頭にあるサイロからコンベアで直接小麦を工場内に搬入できます。これにより小麦を工場内に搬入する経費を節約することができます。実際大手製粉会社さんが新規の工場建設の場合は決まって、臨海地域です。アメリカやオーストラリアなら工場は内陸地域にあるのが一般的ですが、小麦の90%を輸入に頼っている日本では、どうしてもそうなってしまいます。

もうひとつの特徴は、セントラル製粉さんは、中小製粉の中で唯一企業合同をされた製粉会社で、現在のところ他には例がありません。実は、他地域でも1度だけそういった試みがありましたが、諸事情により頓挫しました。製粉工場同士の企業集約というのは、それぞれの小麦粉哲学が異なるのか、なかなか難しいところがあります。

工場見学を終えて強く感じたことは、セントラル製粉さんはとても工場然としていて、うらやましく思いました。弊社は、工場内設備は定期的に更新しているつもりですが、建物は戦後そのもので、なかなか自由なレイアウトが計画できません。大きくゆったりとした製粉工場をみると、弊社もいつかはそういった工場になってみたいと、思わずにはいられません。セントラル製粉さんのトレードマークは、幸せを運ぶと言われているこうのとりです。なかなかふんわりとしたデザインで大好きになりました。