#375 ベトナムの国民食・フォー

少し古くなりますが、キャット・バートン(Cat Barton)さんの「ベトナムの国民食であるフォー」についての記事(2013.01.23,AFP)が印象的でしたので、気になった部分だけを簡単にご紹介しておきます。

ハノイで最高のフォーを味わうことができる処といえば、無愛想な店員に長い行列、そして簡素で小汚いレストランと、相場が決まっている。フォーは牛肉のスープ、ハーブ、香辛料、そしてビーフン(米粉)からできている単純なスープで、今から100年程前に北ベトナムで誕生した。今では国民食であるばかりでなく、フランス人シェフやベトナムを旅行する貧乏学生たちにも大いに支持されている。しかしベトナム人作家・故NGUYEN TUAN (グエン トゥアン)が言ったように、ベトナムの人々にとっては、フォーを食べること自体が一つの宗教的儀式みたいなもので、今ではこの質素にして日常生活に不可欠な料理は、ハノイのどこに行っても味わうことができる。

冬のジメジメした寒いある日、寒さに震えながら行列に並んでいる39歳のトランさんは、こう言います:「ここではもう20年以上も同じように食べている。ここの店員はいつも無愛想だけど、もう慣れたので別に気にならない。僕はここのフォーで大きくなったようなもんだよ」。フォーは今やベトナム人にとっては無くてはならないものだ。伝統的な朝食ではあるけれど、今では一日中いつでもどこでも注文できるし、貧富を問わず、誰もが同じレストランで、一杯100円のフォーを楽しむことができる。

「フォーは純粋にして独創的、そして素晴らしいベトナム料理だ」とある料理人は言う。麺は手作りで4時間かけて完璧な状態に仕上げる。生姜は強火で焼き、牛骨と香辛料は、炭火でグツグツと少なくとも8時間は煮込む。そしてフォーの何とも言えないその芳しい匂いは、その料理の重要な部分であるし、特筆すべきは何といっても、その澄み切った香りの良いスープであろう。フォーのような料理は他の国では、まずお目にかかれない。

フォーの起源については曖昧な点も多く、ベトナムでもかなり議論をよんでいる。1900年当初は、ベトナム料理では牛肉はあまり使用されることがなかった。その理由は、家畜が重要な労働資源だったからだ。しかしステーキを食べるフランス人が入植してくると、牛骨が簡単に手に入るようになり、徐々にスープに使用されるようになった。その後暫くは牛骨スープのみが使用されていたが、1940年代に日本軍の占領下になると牛が不足し、チキンスープも使われるようになったようだ。

一方、フォー(pho)というのは、フランスの影響を受けたベトナム料理であり、名前の由来はポトフ(pot au feu)というフランス料理だという説もある。実際ポトフでは焼きオニオンを使用するのに対し、フォーではエシャロットという野菜(香辛料)を焼くなど類似点も多い。またかつてのフランス植民地時代、ベトナム最大の織物施設で働いていたフランス人とベトナム人の両方が満足できる料理としてフォーが考案されたという説もある。しかし真実は何にせよ、フォーは世界で第一級のスープであることには間違いはないのだ。

以上が簡単な記事の内容です。ベトナムの国民食「フォー」。日本でいえばうどん・そば・ラーメンといったところでしょうか。思うに、基本的には麺類は、どこの国でも大人気なんですね。お寿司や天ぷらは確かに美味しい、日本を代表する国民食ですが、毎日となるとなかなか食べられるのではありません。その点うどんやそばなら、個人的には毎日でもOKです。そういう意味で麺類が究極の国民食だと考えます。これからもさぬきうどんをよろしくお願いします。