#349 グルテン・フリー・ダイエット

以下は2012.7.31付マイク・シュトッベさん(Mike Stobbe)による掲題記事の要約です。何でも海の向こうのアメリカでは、現在グルテン・フリー・ダイエット(gluten free diet)なるものが流行っているそうです。

これは読んで字の如く、グルテンを含まない食品だけを摂取するダイエット方法のことです。グルテンは小麦粉だけにしか含まれないので、つまり小麦粉を摂取しないダイエットということになります。現在スーパーの棚からはこのグルテンフリー食品が飛ぶように売れ、昨年は総額70億ドルも売れたそうです。

では、なぜグルテンフリー食品を食べるのか?その理由は様々ですが、例えばダイエットに効果があると考えたり、気分が良くなったような気がしたり、また単純に自分はグルテンに対するアレルギーがあるんじゃないかと誤って信じている場合などです。確かに稀にですがグルテンアレルギーの方がいるのは事実だし、その傾向がひどくなるとセリアック病といって、腹痛、腫れ、また断続的な下痢などの症状を起こすこともあります。そしてその場合、栄養分を充分に吸収できないために、体重が減少したり、疲れ易くなったり、また発疹を発症するようになります。

現在、アメリカではセリアック病の患者は人口の1%程度、そしてその数は増加中と言われています。セリアック病と似たものに、小麦アレルギーがありますが、こちらは前者に比べ数はずっと少なく、たとえアレルギー症状がある子供たちも、その多くは成長するにつれ、症状がなくなります。それでは、なぜセリアック病は増えているのか?これについては、①人々が以前にも増して、パスタなどのより多くグルテンを含む加工食品を食べるようになった。②緑の革命といわれる1950年代に始まった多収性の小麦品種開発などが原因、と指摘する研究者もいるそうですが、詳細は不明です。

このような状況のもと、最近は「グルテン感受性」という言葉も聞かれるようになりましたが、現在のところはその定義自体が曖昧なために、どのくらいの人がそうであるかは良くわかっていません。アトランタのある健康食品のお店では、来訪者の1/3以上がグルテンフリー食品を買い求めるそうです。この内一体どれだけの人が、本当にグルテンアレルギーで、そういった食品が必要なのかは不明ですが、とにかく売れていることには間違いないそうです。

以上が、ざっと記事の内容です。それにしても小麦王国のアメリカでこんなブームが起きているとは、びっくり仰天。そもそも小麦が穀物の王様と言われるようになったのは、その食味、バランスがとれた豊富な栄養素に加えて、グルテンによる加工適正の良さがあります。小麦粉に水を加えて捏ねると、その生地は自在に加工成形することができますが、これは全てグルテンの粘弾性のおかげです。

例えば米粉を練っても、グルテンがないために、一つにまとまる力がなく、よってうどんは繋がりません。パンはアルコール醗酵によって、二酸化炭素を発生して膨れますが、グルテンがないとそれを支えることができないので、ぺっしゃんこになってしまいます。膨らまないパンはどうしても硬く、よって美味しく感じません。

考えてみれば世の中、色んなダイエットというか、食生活があります。最近では、日本でも糖質フリーダイエットなるものが最近流行っています。これは簡単にいうと血糖値を上げる糖質(炭水化物)を抜くことで、脂肪の代謝を活発にし、痩せようということらしいですが、詳細は私にはわかりません。また逆にお肉は食べない菜食主義の方もいます。でもやっぱり人の身体というのは、炭水化物・たんぱく質・脂質の3つの基本栄養素をバランスよく摂取するのが理想だと思います。