#338 機械製麺④・・・乾燥~包装

【⑥乾燥工程】
ここが乾麺特有の乾燥工程です。切り出された直後の麺は、35%程度の水分を含んでいますが、乾燥することにより最終的にはうどんで14.5%、素麺・冷麦で14%程度まで水分を下げてやります。乾燥させることで常温での長期保存が可能になり、これにより乾麺は日本の伝統的そして代表的な保存食になりました。ただ一口に乾燥と言っても、ただ風を当てて乾かせば良いといった単純なものではなく、ある程度の技術が必要で、以下簡単にその乾燥方法を説明いたします。

今、乾燥する前のそうめんやうどんなどの生麺があるとします。このときこの生麺に含まれる水分の増減が起こらない環境湿度のことを、「平衡湿度」と言います。よって麺に含まれる水分が多いときは、周囲の湿度が高くても麺は乾燥するので、平衡湿度は高くなります。つまり最初は麺の水分は多いので平衡湿度は高く、乾燥が進むにつれ、平衡湿度は低くなります。また麺に含まれる水分が同じであっても、食塩が多く含まれているときは乾きにくくなるので、平衡湿度は低くなります。

当然のことですが、乾燥は麺の表面から始まります。表面が乾燥すると、内部との水分差が生じるので、内部の水分が表面に移動しますが、このことを「拡散」と言います。乾燥が早過ぎると、表面の乾燥スピードが拡散スピードよりも速くなり、表面と内部との水分差が大きくなります。すると形状が反り返ったり、内部応力に歪ができ麺が割れたりします。また見た目はうまく乾燥できたように見えても、実際にゆでてみると割れてしまうといったことも起きてしまいます。

よって最初は急激に乾燥しても大丈夫ですが、その内に徐々に乾燥スピードを落とし、表面の乾燥スピードが拡散スピードを超えないようにすることが重要です。特にうどんの場合は、表面から中心までの距離が大きいので、水分格差が大きくなり易く、それだけ乾燥が難しくなります。一般には乾燥室を3室(#1~#3)用意し、#1では急速に乾燥し、#2ではゆっくりと乾燥し、#3では更にスピードを落とし最終的な仕上げ乾燥を行います。乾燥ラインは総計で500mにもなり、乾麺はその全行程を半日から1日かけてゆっくりと回って、乾燥を終了します。

吊るされた状態で移動しながら乾燥されます。

吊るされた状態で移動しながら乾燥されます。

空っぽの乾燥室。室内500m程を移動して乾燥を終了。

空っぽの乾燥室。室内500m程を移動して乾燥を終了。

 

【⑦裁断工程】 
乾燥が終了した乾麺は、一定量をまとめてカットされますが、現在この裁断工程はほとんど自動化されています。乾麺の長さは8寸(24cm)もしくは6寸(18cm)が多く、この辺りが箸で持ち上げ易い長さなのかも知れません。

裁断は自動で行われます。

裁断は自動で行われます。

結束機で一束50~100gに巻き取ります。

結束機で一束50~100gに巻き取ります。

 

【⑧結束工程】
乾麺の基本的な商品規格としては、250gバラ袋(そのままの状態で袋詰したもの)、もしくは100gに結束したものが3束入った300g袋入が標準的で、弊社でもそういった商品を製造しています。乾麺はゆでると重量が約3倍、つまり100gの乾麺をゆでると300gになります。量販店で販売されているチルドのうどん1玉が200gなので、大体どのくらいか想像してみてください。よく袋に3人前とか書いていますが、その一人前は80g~100gを基準にしていることが多く、その通りにゆでて満足される方は、あまり多くないと思います。

 

【⑨包装・計量・梱包工程】

包装後は、金属探知機及びウエートチェッカーで検査します。

包装後は、金属探知機及びウエートチェッカーで検査します。

包装された乾麺は、計量されます。重量が少ないものは不可となります。また同時に金属探知機により、不純物が入ってないかどうかも検査されます。そして最終的に問題ない製品が梱包・出荷されます。乾麺の標準的な賞味期間は1年ですが、高温多湿を避けた良い保存環境であれば、何年経過しても大丈夫です。ただ乾麺の特徴として、時間が経過するほど食感が締まってくる傾向にあります。よって、うどんなどの太い商品は賞味期間内でも早く調理する方がもっちりした食感がするし、逆に細いそうめんは製造後ある程度時間を経過した方が「コシコシ」とした歯切れの良い食感がします。