#332 坂出市立松山小学校2年生の工場見学

「じゃり~ん」と電話が鳴ったので受話器を取ると、「私、となりの坂出市立松山小学校2年の担任なんですが、明日工場見学にいってもよろしいですか?」と仰るので、どうぞどうぞということになりました。聞くところによると生徒たちはいつも工場の前を通り、通学しているけれど、「ここは何をやっているところ何だろう?」と、ずっと疑問に思っていたそうです。それで社会学習の日に、JAとか郵便局など、4つのグループに分かれて見学に行くことになり、弊社には16人の2年生がやって来てくれました。

今年の2年生は2学級36名ということで、予想以上の大人数です。1学級の定員の上限は35名ということなので、ちょうどうまい具合に2クラスができました。全校生徒数は202名ということなので、なかなかのものです。ただ坂出市の最北に位置した王越小学校が、昨年4月より松山小学校に統合されたことを考慮すると、この数字、素直に喜べないところもあります。私が松山小学校の生徒だったはるか昔は2クラスで80名、しかも2学年上には3クラスあったことを考えると、少子高齢化は歴然です。

ところで工場見学にやってきた16人の生徒さんの内、王越町から通ってきているのは3名。で、何気なく「それじゃ、王越町からだと毎朝バス通学なんやね?」と聞いたところ、「違います、タクシーです」との答えが返ってきてびっくり仰天しました。何でもバス通学は3年生以上で、1・2年生は坂出市の補助を得て、安全上タクシーを利用することになっているそうです。それにしてもタクシー通学なんて、私が子供の頃は想像さえできなかったことで、本当に隔世の感があります。世の中の常識と言われているもの、いつどこでどう変わるかわかりません。

さて、小学2年生たちの質問は難解なものが多く、理解するのが大変でしたが、「何をつくっているのですか?」という質問はごもっともでした。また一般の人たちも、製粉会社といえば小麦粉を製造しているのはわかっていても、なぜこのような大規模設備になるのかがピンとこないようです。つまり昔は石臼と篩だけで小麦粉ができていたのに、現在はなぜそんなに多くの機械装置が必要になるのかわからないというのは、ご尤もかつ素朴な疑問です。

精米の原理は簡単です。玄米とは硬い白米の周りに柔らかい米ぬか層が覆っている状態で、精米とはこの玄米の表面を薄く削りとり白米にする作業のことです。お米は搗きたてが美味しいので、普段は玄米の状態で保存しておき、食べる前に精米します。最近は、自動で精米をおこなってくれるコイン精米所が増えましたが、これも精米の原理が簡単で、よって機械化が容易なためです。

一方小麦製粉も、表面の表皮を取り除き、中の胚乳部分を取り出すという点において、考え方は精米と同じです。ただ大きな違いは小麦と玄米の構造の違いです。小麦の表皮は、米ぬかと異なり硬くてなかなか壊れないのに対し、胚乳部分は脆く、すぐに壊れてしまいます。よって精米と同じように周囲を削ろうとすると、胚乳も一緒に壊れてしまい、表皮と胚乳が混じりあってしまいます。するとうどんにしたときには、色がくすんだり、食感がざらついたりして、おいしいうどんになりません。石臼で挽くといきなり表皮部分が引き裂かれてしまい、表皮の断片が小麦粉に混入するので、同じうどんでもロール製粉機のそれとの違いは一目瞭然です。

表皮の混入を極力避けるため、現在の製粉は小麦全体を少し割っては篩にかけ、粒度別に分別します。そしてそれぞれをもう一段階小さくしては再度篩にかけ、できるだけ表皮の断片が胚乳に混ざらないように工夫しています(詳細は#158#167をご覧ください)。「表皮と胚乳とをきれいに分ける」といった単純なことをキチンとするために、現在の製粉工場では多くの機械装置が稼働しています。

人数を数えて!

人数を数えて!

これから見学を始めます。

これから見学を始めます。

ロール製粉機の間を抜けて、

ロール製粉機の間を抜けて、

シフターが大きく回転し、建物が揺れているのでびっくり仰天。

シフターが大きく回転し、建物が揺れているのでびっくり仰天。

一生懸命メモをします。

一生懸命メモをします。

最後に記念撮影。

最後に記念撮影。

さようなら。またいらっしゃい!

さようなら。またいらっしゃい!