#312 2011年今年の三大ニュース

今年は何を差し置いても、東日本大震災そして原発事故について触れないわけには参りません。正直、阪神・淡路大震災以上の災害に遭遇するとは夢にも思いませんでした。今回の震災及び原発事故で被災された方々には、改めまして、謹んでお見舞い申し上げます。

それにしても地震の脅威を改めて思い知りましたが、それ以上に津波の恐ろしさを実感いたしました。地震は確かに怖いですが、地域全てを壊すわけではないので、被害はどちらかと言うと散発的です。それに対し津波は押し寄せたところ全てを飲み込むので、被害は遥かに甚大です。

そしてそれ以上に影響が大きいのが、原発災害です。地震も津波も確かに怖いけれど、その被害は一過性です。一方、原発による放射能汚染は、長期間に亘り続くので、本当に厄介で、不安が継続し、精神的にも消耗します。ニュースに映る除染作業を見ていても、果てしない作業をされているようで本当にかける言葉もありません。

また昨年(#264)そして一昨年の(#217)繰り返しになりますが、私たちの国は、相変わらず順調に(?)借金大国への道をまっしぐらに進んでいて心配でなりません。政権与党のマニフェストはことごとく反古にされ、「これはもはや国家的詐欺ではないか」と言われても仕方がないか、とも思います。確かに今の御時世、大変な時代ではあるので、同情は致しますが、これほどまでに話が食い違うと、愚痴の一つも言いたくなります。ということで、愚痴はこの辺りにして、今年も独断で業界の三大ニュースをお伝えします。それでは皆さん、どうか良い年をお迎え下さい。

1.震災の影響
これは地元紙発表の「2011県内10大ニュース」の第1位にも選ばれました(右画像参照)。被災地から遠く離れたこちら香川でもサプライチェーン寸断の影響で、部品・包材が調達できず、納期や生産量が大きく狂いました。また自粛ムードの広がりで、県下の観光地やホテルではキャンセルが相次ぎました。

一方製粉業界においても、東西で物流の流れが変わったため、例年とは違った動きになりその対応に苦慮しました。小麦を製粉すると、生産されるのはうどん用の小麦粉だけでなく、色々なグレードの小麦粉、そして小麦ふすま(小麦の皮の部分で飼料になります)などが同じ割合で発生します(#165)。

よって製粉会社の仕事は、うどんやパン用の小麦粉を生産販売するだけでなく、同時に発生する下級粉や小麦ふすまも過不足なく販売する必要があります。この点が、販売したい商品だけを仕入れる問屋さんとの大きな違いです。しかし今回は震災の影響で、こういった製品の流通経路が従来と大きく異なり、製造した製品の処理に各社とも腐心しました。

2.「1000円高速」の終了 
これも地元紙で7位にランクインしました。高速道路の「休日1000円乗り放題」は6月19日に終了しましたが、この影響で、瀬戸大橋の週末の利用台数は2割以上減少し、残念ながら県内の観光地やうどん店でも、県外からの客足が減少する結果になりました。来年はまた反転攻勢を期待したいところです。

3.一年に2回の小麦価格改訂の影響 
従来、小麦の価格改定は、1年に1回でした。しかし市場価格をより迅速に反映させることが望ましいという要望に応じて、昨年10月より、年に2回(10月と4月)価格改定が行われることになりました。その結果、小麦粉価格も1年に2回改訂されるようになり、各製粉会社の営業担当は1年中小麦粉の価格改訂に追われることになりました。影響は2次加工ユーザーも同様です。結局、製粉会社も2次加工ユーザーも、年がら年中不毛な価格改定に振り回され、大変な年でした。

番外編:「うどん県プロジェクト」
地元紙で9位にランクイン。香川県が「うどん県」に改名したという、香川県のPR映像です。興味ある方はどうぞ。