#288 モチモチトーストとサクサクトースト

北村くんは九州の製粉会社に勤めるお友だちです。言ってみれば同業、つまりライバルですが、規模が違うのであまりそういう意識はありません(先方が大きい)。北村くんの娘さんは、昨年、テニスの県大会(中学生部門)で優勝しました。私も週一テニスではありますが、少々かじっているので、それがどれ程の偉業であるか良くわかり、ほんとにすごいなと思います。

ところで北村くんからは、年に数回、忘れた頃に電話やメールが入ります。今回も突然、メールが入り、何の用事かと思ったら北村くんのところで製造している家庭用のパン用ミックス粉を送るので、試食してみてくださいという内容でした。で、届いたのはモチモチトーストとサクサクトーストという2種類のパン用ミックス粉。ミックス粉とは文字通り、最初から小麦粉に砂糖や塩などの副原料をミックスしている粉のことで、調理の際にいちいち混ぜあわせる手間が省けるスグレモノです。欠点といえば、それだけ付加価値が付いているので価格が高めになること、それに最初から配合されているので、各自の好みの配合ができないということでしょうか。

ただミックスといえども、普通は、イーストが入っていないものが多いようです。というのはイーストは生き物なので開封後は冷蔵保存する必要があり、よって別に管理する必要があるからです。またミックス粉によっては、バターも別投入する必要があります。今回試したミックス粉も、バターとイーストは別投入で、北村説によると、粉末バターは費用対効果がよくない、つまり価格の割には効果が低いので、敢えて入れてないんじゃないか、っと。何れにしても一口にミックス粉といっても、それぞれビミョーに原料配合が異なるので、よく取説を読む必要があります。本当は手間暇省くためのミックス粉ですけど、逆に原料配合を注意して読まないと失敗するのであれば、本来のコンセプトに矛盾するような気がしないでもありません(汗!)。

さて弊社には現在2台のHB(ホームベーカリー)が稼働中ですが、このHB間の影響をなくするために、2種類のミックス粉を、両方のHBで焼いてみました(よって合計4斤)。結果は、ほんの少しサクサクトーストの方が良く膨らんだように見えますが、まあほぼ同じ。焼き上がりは、どちらもこんがりと焼き色が付いていますが、これは副原料の違いによるものだと考えます。肝心の味ですが、どちらももっちりと、そして美味しく焼き上がりました。モチモチトーストの方が、砂糖が多く入っているせいか、かなり甘めの仕上がりでした。

ところで「モチモチ」、「サクサク」と名前が付いている割には、どちらももっちりとした仕上がりで、違いが良くよくわからんので、どうしたもんかと北村くんに聞いてみたところ、「これは更にトーストしてから比較してね」とのお返事でした。で、言われた通りトーストしてみたところ、やっぱりどちらも、もちもちとそして美味しいんです。全神経を集中させて味わうと、言わんとしているところがわからんでもないんですが、この辺りは各個人の感性の問題も絡んできて中々ビミョーなところです。そして食感を擬態語で表現することの難しさがよくわかりました。でもね、食品は安全安心で、健康的で、そして美味しければそれで十分じゃないか、っと。