#270 ロンドンのうどん屋さん・・・その②

ジョンさんが昨年4月にロンドンでオープンしたさぬきうどん店KOYAは、開店以来連日満員御礼が続いています。そこで面識がないので失礼とは思いつつ、大将のジョンさんに思い切って、かねてからの個人的な疑問をメールで尋ねてみました。つまり「欧米の人たちはうどんを啜ることに対して心理的な抵抗はないのですか?」っと。すると次のような丁重なる内容のお返事をいただきました。日進月歩の技術革新のおかげで(?)、生活は便利になりすぎ、時に息が詰まりそうに感じることもありますが、こういうときは本当にありがたいと思わずにはいられません。

結論から言うと、まだ手打ちうどんそのものがロンドンでは馴染みが薄く、「啜る云々」という段階にまで達していないので、その結論はもう少し先のようです。日本料理はニューヨークではその地位を不動のものとして確立しましたが、ロンドンではまだまだこれからだそうです。そして意外や意外、ロンドンでの国民的人気料理(?)は何かといえば、インド料理です。これはかつてインドがイギリスの植民地であったことが理由のようですが、まあざっくりと言えば、ニューヨークの日本料理、そしてロンドンのインド料理が、まあ似たような関係だろうとジョンさんには感じるようです。

現在のKOYAの盛況ぶりは、お客さんが純粋に「うどんの味」を評価してくれての結果です。私たちさぬきの人間にとっても、さぬきうどんがロンドンっ子に支持されたという事実は素直に嬉しいです。ジョンさん曰く、「啜るというのは技術的にも簡単ではないので、すぐにはできんと思うけど、そのうちだんだんと慣れてきて、抵抗なく啜ることができるようになると思うわ。そやから今はhiyahiya(ひやひや)やhiyaatsu(ひやあつ)みたいなメニューが良くでてるけどな」っと。

ロンドンにおけるKOYAの成功を知り、とても嬉しく思うもう一つの理由は、うどんに限らずおいしい料理を提供すればきっと繁盛するという事実を証明してくれことです。これはさぬきのうどん屋さんも例外ではないと思います。もちろん立地条件は大きな要因ではありますが、美味しい料理を提供すればお客さんはきっとついてきてくれるということです。「丁寧においしいうどんさえ作れば、どこで開店しようと流行るんだ」という「味に国境はない」ことを証明したジョンさんの功績は大なるものがあります。「急がば回れ」、「損して得取れ」といいますが、最初は効率が悪いようでも、結局は良いものを愚直に提供し続けることが肝要であるという事実を再認識したように思います。

最後にジョンさんに是非、ご提案したいメニューがあります。ロンドンでのメジャーな外国料理はインド料理。そして現在、さぬきうどんも着実に支持されつつあります。となれば次にくるメニューはカレーうどん以外に考えられません。インド料理が浸透しているロンドンでは、カレーうどんは熱烈歓迎されるに違いありません。この際カレーうどんを是非メニューに追加してみてはいかがでしょうか?