#268 大久保式超速二八そば

「じゃり~ん♪」と電話が鳴ったので、受話器をとると、聞き覚えのあるお声は超速うどんの大久保さんでした。まだお顔を拝見したことはありませんが、最近よくお電話をくれます。っで、今回はどんなお話かと期待していると氏曰く:「あのさぁ、二八そばって知ってるでしょ?あれって、最初にそば粉と小麦粉を混ぜあわせるのが結構面倒なんだよね。で、簡単な方法があるんだけどさ、試してみない・・・」っと。

確かに二八そばは、最初に小麦粉2割とそば粉8割とを均一の混ぜておいてから、水回しを始めるので、面倒といえば面倒。それで「是非、教えてください」とお答えすると次のような方法を伝授してくれました:

材料3人前 : そば粉240g ・ 小麦粉60g ・ お湯150cc
【手順1】小麦粉60を150ccのお湯に溶く。
【手順2】上記をそば粉240gに混ぜあわせながら捏ねる。
【手順3】延ばして切る

この方法のポイントは、小麦粉を始めにお湯に溶いておけば、後で水合わせのときに、うまくそば粉と混ざり合うので手間が省けることです。これを聞いたときは「なるほど、これならきっとうまくいくに違いない」と確信しましたが、実際にやってみると意外な結果になりました。というのは、【手順1】の終了時には、小麦粉とお湯の混合物がかなりトロトロの状態になることを期待していました。しかし実際は豈図らんや、餡掛けの「あん」状態で、かなりドロドロの粘性の大きなものになりました。

この時点で、「そば粉と混ぜあわせるのはやめようか」と一瞬躊躇しました(だって、こんな「あん」状態の塊がそば粉とうまく混ざるとは到底思えなかったからです)。が、今更やめるわけにもいかず、続行。実はこの場面を画像に収めたかったんですが、そんな余裕もなくそのまま【手順2】に進みました。結果何とか生地に捏ねあげることができましたが、あんが手にまとわりついて、「カエルの指」状態になってしまいました。うどんを打つとき、水回しが終了した時点で、「手のひらに一粒の小麦粉もついていない状態」が上級者の証ですが、これは完全な失敗例です。あと気になった点は、水は「あん」状態となってそば粉と混ざり合うので、均一に混ざったかどうかが全く自信ありません。というか、きっとマダラ模様になっている筈ですが、目視ではよく確認できませんでした。

結果としては完成画像のように、うまくできましたが、この方法が超速かどうかと聞かれると自信ありません。きっと従来通り、最初に小麦粉とそば粉をササッと混ぜ、その後お湯だけで水合わせを行う方が簡単で早く、また手も綺麗だと思います。私が手順を聞き違えたのか、それともやり方が不味いのか、今度機会があればお聞きしてみたいと思います。ということで、みなさんがチャレンジされるのであれば、「超速二八そば」よりも「超速うどん」をオススメします(汗!)。

話は変わりますが、うどんを打つときには水回しが一番重要な工程であると考えます。グルテン形成の重要性はこれまで何度もご紹介しましたが、グルテンは小麦粉の中のグルテニンとグリアジンと水と一緒になり、更に「捏ねる」という作業が加わって初めてできます。つまりこのとき水合わせが均一になってないと、水がないところはいくら捏ねてもグルテンができないし、反面水が多すぎるところはベトベトになるし、良くありません。しかも一旦生地にまとめあげてしまうと、どれも同じに見えるので、水回しがうまくいったかどうかは、実際にうどんになるまではわかりません。だからどうせわからないからと言って、水回しは軽視しないようお願いします。

2種類の違う出汁の試食も兼ねてやりました

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