#254 食品のエネルギー①・・・熱量の計算方法

私たちの身体は常に新陳代謝をしていて、それを支えているのが食事から摂取するエネルギーです。よって必要以上に食べ過ぎると、余ったエネルギーが蓄積されて太ることになり、逆に少なすぎるとだんだんと痩せてきます。ただ飽食の時代である現代においては、痩せるよりも太るケースが断然多く、誰しも口にする食品のカロリーはどの位になるのか、気になるところです。そのせいか最近はカロリー表示をしている食品が断然増えたような気がします。

食品のカロリーの計算方法はいくつかありますが、一般的に用いられているのはアトウォーター(Atwater)のエネルギー(換算)係数によるもの(だそう)です。これは三大栄養素であるたんぱく質、脂質、そして炭水化物のエネルギーを、それぞれ4kcal/g、9kcal/g、4kcal/gとして計算するという単純なもので、それぞれの数字を「エネルギー係数」といいます。

例えばここにある強力粉100gに含まれる栄養素がたんぱく質12.4g、脂質1.1g、炭水化物74.1gとすると、このエネルギーはそれぞれにエネルギー係数を掛けて加えたもの、つまり12.4×4 + 1.1×9 + 74.1×4 = 355.9(kcal)となります。よって強力粉のエネルギーは大抵どこのメーカーのものでも、これに近いものとなります。

もちろん食品によっては同じたんぱく質でも、消化吸収の度合いによって、そのエネルギーに多少のブレはありますが、そんなことを言ってると、すべての食品についてエネルギー係数を用意しないといけないので現実的ではありません。そこで大体の平均をとって、たんぱく質なら1gあたり4kcalとして計算をしましょうということになりました。そこで皆さんの身の回りにある加工食品の袋をひっくり返してみてください。そこに栄養成分表示があれば、三大栄養素の重さにそれぞれのエネルギー係数を掛けて同様の計算をしてみてください。するとそこに表示されているエネルギーに大体一致することが確認できます。

エネルギー係数をみて思うのは、油ってかなり危険です。確かにどんな料理でも油を加えると、味がぐっとのってきて美味しくなりますが、その分高カロリーなのです。(#245)で登場した岡田正彦先生の本にはカロリーについて興味深い指摘が2点程ありましたので、紹介させていただきます。

①三大栄養素のうちたんぱく質の摂り過ぎは肥満の原因にはならない

理由はたんぱく質はアミノ酸に分解されますが、不要なアミノ酸は体内に残らずに排出されるからです。よってたんぱく質を必要以上に摂取しても、肥満にはなりません(そういえばボディビルダーはプロティン・ダイエットですね)。しかし炭水化物や脂質は摂り過ぎると、体内で脂肪酸として蓄積されるので、肥満の原因になります。だったらお肉は動物性たんぱく質だからいくら食べても太らないじゃないか、とついつい思ったりもしますが、そんな旨い話はどこにもなく、お肉には脂質がたっぷり含まれているので、バッチリ太ります。食べ過ぎには気をつけましょう。

②アルコールそのものもカロリーとして体内には残らない

お酒に含まれるアルコールはアセトアルデヒドに変換され、その後炭酸ガスと水とに分解されてしまい、よってカロリー源としては体内に残りません。つまりお酒に表示されているカロリーは、そこからアルコール換算分を引けばよいことになります。例えば、標準的な缶ビール(350cc)では138kcal程度が表示されていますが、これからアルコール分を引くと実質的なカロリーは50kcal程度だそうです。同様に清酒一合も200kcalですが実質的には同じ50kcal程度のようです。つまりビール腹というのはビールを飲み過ぎて膨れたのではなく、それと一緒に食べる食事が原因のようです。したがってダイエットのために禁酒する必要はありませんが、飲み過ぎが良くないことは言うまでもありません。