#155 平成20年度産・「さぬきの夢2000」の製粉が始まりました

実は前回のテイスティング(新着情報#154)では今年収穫された「さぬきの夢2000」(H20度産)を初めて製粉したものを使用しました。6月に麦秋を迎え、3ヶ月を経過したのでそろそろ製粉の適期を迎えます。米は新米、蕎麦も新蕎麦と言われるので、穀物は何でも獲れたてが良さそうですが、小麦に限っていえば収穫後一定期間、小麦の状態で熟成させた方が良いことになっています(新着情報#045)。

今年は順調に生育し、収穫時に雨にたたられたものの5000㌧以上が収穫され、1等麦比率も57.5%とまずまずの出来映えでした。第一回の製粉結果をみる限り、昨年に比べたんぱく(グルテン)が若干少な目でした。これはたまたま引き取った倉庫の小麦特有のものか、それともH20年度産小麦全般にあてはまるのかは、現時点では判断しかねます。「さぬきの夢2000」は元々グルテンが少ない方なので、そのあたりは気になるところです。実際、生地を延ばしていても、「さくい」感じがして、表面があれたり、周辺部にひびが入ったりで、はらはらどきどきでしたが、切れることもなく、しっかりとしたおいしいうどんがゆで上がり一安心しました。

尤も昔は、これよりもっとグルテンの少ない小麦粉でうどんを打っていた時代もありました。というか、そもそも昔の内麦はみなグルテンが少なかったのです。「宵ごねはいかん、あれは麩が出過ぎてしまう」などに代表されるような、今は聞いてもピンとこないようなうどん打ちについての格言が、昔はごまんとありました。そしてそれは、小麦粉のグルテンが少ない時代のことで、当時はそれだけうどん作りに丁寧さが要求されたのだと思います。

耕作上の理由か、作業適性を重視しているのかは不明ですが、近年の傾向としてASWはたんぱく含有量が多めに推移しています。グルテンの多い小麦粉に一旦、慣れてしまえば、宵練りOK、作り置き可能など色々便利なことばかりです。だから尚更、「さぬきの夢2000」でうどんを打つときはちょっと、まごつくかもしれません。そういうときは、先人達のご苦労を思いだしてください。

色調については、今年の方が冴えてるようです。小麦らしい淡黄色は、内麦としては出色の出来で、食欲をそそります。そして肝心の味も良好で、少なくとも味に関していえばASWよりも濃くて美味しいというのが、一致した意見です。問題は手間隙かけることをいとわず、うどん作りができるかどうかが選択の分かれ目でしょうか。

あくまでも第一回目の製粉結果だけから判断すると、今年の「さぬきの夢2000」は、「グルテンは気持ち少ないものの、色調、味は優れている」ということになります。