#015 さぬうどん存亡の機(さぬきうどん不正表示問題について)・・・Part4

事件の影響
このY社の不正表示事件は、地元では最初は連日のように報道されました。また7時のニュースに流れたこともあり、当社にも全国各地から様々な問い合わせや意見がありました。まとめると次のようになります。まず、「さぬきの夢2000」の小麦粉を使用しているユーザからはそうであることの証明書をだしてほしいという声が寄せられました。消費者が不信感を抱くので当然です。また逆に、変わったところでは、「さぬきの夢2000」の小麦粉を使用していないという証明書をだしてほしいというユーザもいました。これは、実際「さぬきの夢2000」は使用していないけれど、「さぬきの夢2000」問題にかかわるのはイヤなので、敢えて「使用していない」ことを強調したいということです。最初、冗談かと思いましたが、言われてみればそれもご尤もです。

次に、「なんでこの時期に公表したのか?」といった声もありました。「もっと早い段階でわかっていたのに、なぜ今なのか?またこれだけ遅らせたのなら、年明けに発表してもよかったではないか」、とか「この時期は年末商戦を控え、最悪のタイミングだ」などなど。またこの不祥事で「今回のうどんブームもこれで終わりや」と断言したうどん屋さんもいます。ちなみに今は第3次うどんブームと言われています。第1次うどんブームは大平正芳元首相が活躍されていた、昭和40年代後半から50年代(1970年代)にかけて、第2次うどんブームは、瀬戸大橋が開通し、架橋博が開かれた1988年(昭和63年)に始まりました。このときはうどんが飛ぶように売れ、製造が追いつかず、粗製濫造が問題にもなりました。なにしろ一杯100円のうどんが600円で売れたといいます(当然、ひんしゅくも買いました)。このうどんブームで自社ビルを建てたうどん屋さんもでてきました。

そして話は戻って、これが一番重要だと思いますが、今回の事件によって起きる風評被害。これまで事あるごとにさぬきうどんの原料のほとんどはASWであると説明してきましたが、それでもさぬきうどんの原料はさぬきの小麦と思っている方はまだ大勢いるのです。「いままで、さぬきの小麦でてきているとばかり思っていたのに。知らなかった」といった内容が多かったようです。中には「謝罪文を書いてくれ」と仰る方もいましたが、そういわれても、これまでも「原料はASWが主体ですよ」と言い続けてきただけに、何をどう謝れば納得いただけるのかよくわからず、「なにが問題なのかそれが問題だ」みたいな感じで閉口したのも事実です。また「それじゃ、なんでオーストラリア産だと書かないのだ」というご意見もありましたが、「品質表示法では『原材料:小麦粉』と書くことになっています」とお答えしてもなかなか取り合ってもらえません。このようなやり取りが毎日いくつかあって、改めて全国の皆さんの「さぬきうどん」に対する認識がわかったような気がします。

あるうどん屋さんの組合は、それまでは「『さぬきの夢2000』はすばらしいさぬきの小麦です。これでつくったうどんはとても風味があり、もちもちした食感でおいしいです。是非みなさんも本当のさぬきうどんを食べてください」と言い続けてきたのに、これを境に、急遽「オーストラリアの小麦で作ったうどんもおいしいよ」キャンペーンを繰り広げることになりました。事情はわかりますが、なにか複雑な心境になります。