#343 新ブランド「さぬきの夢」

「さぬきの夢」って聞いたことありますか?これまで、「さぬきの夢2000」とか「さぬきの夢2009」といった言葉は何度もでてきましたので、「大体そんな感じだろう」という予想はつくでしょう。

ちなみにどちらも、香川県農業試験場が、さぬきうどんのために開発した小麦で、前者は西暦2000年に、そしてそのバージョンアップ版である後者は西暦2009年に開発されました。そして統一性を持たせるために、今後香川県で開発された小麦は全て「さぬきの夢」という愛称で呼ぶことにしましょうと決めました。正確には「さぬきの夢」とは「香川県で開発されたオリジナル小麦の総称」ということです。

つまり「さぬきの夢2000」も「さぬきの夢2009」もそして現在開発中の次の小麦も全てひっくるめて「さぬきの夢」です。次のような表にすると分かりやすいかと思います。ちなみに「さぬきの夢2000」の開発者は多田伸司さん、そして「さぬきの夢2009」は藤田究さんです。どちらも甲乙つけ難い小麦ですが、後者ではグルテンの粘弾性が強くなったので、作業性が向上したこと、そして多収性が大きな特長です。本当は両方を耕作するのが理想ですが、耕作面積が限られているため残念ながらどちらか1種類のみしか耕作できません。

小麦品種 開発(責任)者 総称
さぬきの夢2000 多田伸司氏 さぬきの夢
さぬきの夢2009 藤田 究氏 さぬきの夢
さぬきの夢20XX さぬきの夢
・・・・・ さぬきの夢

ところで「さぬきの夢」を開発するに至った背景は、国産小麦の衰退そしてASW (Australian Standard White Noodle Blend)の台頭があります(おんなじことですけどね)。つまり戦後国産小麦は収益性の低さから、作付面積がどんどん減少し、それに伴いうどん用小麦は、国産からオーストラリアのASWに移りました。もちろんオーストラリアの人達もうどんに合う小麦品種の開発に努力したことも大きな理由ですが、主因は日本農業の経営体質の脆弱化にあります。

そんなこんなで気づいてみると、さぬきのうどん用小麦は、ほとんどASWに席巻されていて、「これではいかん」ということになりました。で、「昔のように地粉を使った風味ある、本当の讃岐うどんを作りたい」という要望がでてきて、1991年より香川県農業試験場が品種開発に着手したというわけです。そして今は「さぬきの夢2000」から「さぬきの夢2009」への過渡期です。そして今年の11月播種する小麦からは全て「さぬきの夢2009」になります。つまり「さぬきの夢2000」が好きな方は、今年がラストチャンスということになります。

話は戻りますが、「さぬきの夢」は正にその名前のとおり、さぬきうどんの夢を託した小麦品種です。今後うどん県、生産者、JA香川県、実需者、加工業者、流通が一体となり、さぬきうどんの益々の振興を図って参りますので、新ブランド「さぬきの夢」をこれからもどうかよろしくお願いいたします。