#453 演劇に携わる人たち

f453今年も残すところ僅かとなりました。この週末には「全国年明けうどん大会2014 in さぬき」がサンメッセ香川で、開催されます。ご興味のある方は是非、ご参加ください。ところで、イラスト担当者による新着情報が届きましたので、アップいたします。
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私は高校・大学と音楽を専攻していたので、現在周りに音楽家が沢山います。しかし小・中学校の友人たちは各人各様の道を進んでいます。当然私にはそういった各自の専門内容がどんなものかよく分かりませんが、中には全く見当がつかないものもあり、その一つが「演劇」でした。しかし昨年の夏、友人の一声がきっかけで、その世界を僅かですが垣間見ることができました。

その友人は都内某大学の演劇研究会に所属していて入部当初は役者でしたが、どういう訳か徐々に舞台制作に魅力を覚え、最終的には照明や大道具といった裏方を務めるようになりました。そして私はその友人が関わる劇団の音楽サポートとして声をかけられました。最初は、演劇といったって所詮学生がする程度のものだと割り切っていましたが、実際にいってみてその予想は大きく外れてしまいました。

初日、早速配られたのは80頁にも及ぶ分厚い台本でした。それをすぐに役者たちが通し読みします。探り探り読んでいるとはいえ、早く各々の役を掴みたいという、闘志ともとれる意気込みが、表情から伝わってきます。そしてその2週間後には、膨大な量のセリフも8割方覚えており、これには心底びっくりしました。暗記が大の苦手な私でも、何故かピアノ曲はすぐに暗譜できるように、舞台役者たちにもそういったセリフを覚えやすいコツというか感覚があるのでしょうか…。もちろんセリフを頭に染み込ませない限り、動きや演出方法などそこから先へ進むことはできません。そして動きをつけるようになってからは、明らかにそれまでとは遥かに体力・精神共にハードになったのが見て取れました。そのうえ季節は真夏、当然エアコンもない倉庫のような稽古部屋での練習風景は、演劇をする人にとっては当たり前のことでも、初めて体験した私にとっては本当に衝撃でした。

そして顔合わせから2か月、その間何度も何度も台本を書き換え、何とか本番当日を迎えました。全て学生で作り上げたとは思えないほど細部までこだわった照明や舞台装置、背景などが合わさることで、まるで映画のフレームの中を見ているような感覚に陥りました。一つの目的に対して誰一人として欠けることなく全身全霊で取り組む姿、そして表面的にも内面的にもあんなに熱い人たちに会う機会は久しぶりでした。自分の専門分野だけでなく、もっと視野を広げて未知の世界に飛び込んでみることも大事なんだ、と改めて感じることができた貴重な体験でした。

蛇足ながら 音楽サポートの私が体力的にハードワークだと感じたことが2つありました。1つは本番当日に演出で使用するドライアイスが不足したので、それを調達するため、池袋の街を2キロのドライアイスを抱えて走り回ったこと。そしてもう1つが稽古部屋の掃除です。演劇人は現場に泊まり込むこともしばしばで、部屋にはあらゆる物が散乱しています。彼らには当たり前の光景でも、素人が見たら思わず帰りたくなる、そんなレベルです。私は母親の影響からか不要なものはすぐに棄てる癖が身についてしまい、ここでも思う存分整理してしまいました。「あれがない、これがない」と騒動になってしまったかも、と今でも時々心配になります。