#113 グルテンそのA・・・グリアジンとグルテニン  @2007_12_07

小麦粉は水と一緒に捏ねることによって、粘りと弾力がでてきますが、これはグルテンの働きによるものです。グルテンはグリアジンとグルテニンとでできているので、結局グルテンの働きは、このグリアジンとグルテニンの機能によって決まることになります。ということで、ここではその二つのタンパク質の性質を簡単におさらいしておきます。

グリアジンとグルテニングリアジンは、それだけだと軟らかくて「べとべと」していて「粘性」があります。この「粘性」のことをviscosityといいます。グリアジンを棒につっつけて引っ張り上げると、重力の力によって、細く糸を引きます。このように糸を曳っぱったような性質のことを「曳糸性(えいしせい)」といいますが、納豆なんかが典型的な例です。このグリアジンのお陰で、小麦粉を水で練った生地を「ぐいっ」と伸ばすことができます。つまり、引っ張ることができるので、グリアジンには「伸展性」があるともいいます。

一方、グルテニンの方は、引っ張るときにかなり力が必要で、それを途中で手を離すと元に戻ろうとするゴムのような性質があるので「弾性」があるといい、これをelasticityといいます。これらの性質は試したことはないですけど、どの本を見てもそう書いてあるので間違いはないと思います。

で、グルテンは当然この二つの性質を兼ね備えているので、引っ張るときには「ぐいっー」と力を入れる必要がありますが、それは千切れることなく尾を引きます。つまり「粘性」と「弾性」の両方があるので、「粘弾性」があるといい、このことを両方合わせた造語でviscoelasticityといいます。

グリアジンとグルテニンその2では、グルテン、つまりタンパク質の量はどの位が適当かというと、これは用途によります。例えば、生地が膨れないといけないパンなんかは、強いグルテンが必要となります。そのわけは、生地が発酵して二酸化炭素を発生し、これによって生地が膨れます。このとき、生地の中のグルテンも一緒に立体網目構造を形成します。そしてグルテンが充分にあれば、ガスの保持力が充分、つまり膨れた生地を支えておくことができますが、そうでないと「ぺしゃんこ」になってしまいます。これがグルテンの網目構造がよく建物の中の鉄筋にたとえられる理由です。だからパンには「強力粉(きょうりきこ)」が適しています。

一方、クラッカー、ケーキ、そしてクッキーなどのお菓子には、このガスの保持力は、必要ありません。それどころか、グルテンが多いと、逆に生地がしっかりし過ぎて食感がよくありません。つまり、「もったり」とし過ぎて、ソフト感がうまくでません。クラッカーが「さくさく」、そしてケーキが「ふんわり」とした食感をだすためには、タンパク質の少ない「薄力粉(はくりきこ)」が適しているのです。

で、肝心のうどんはどちらかというと、「グルテンが少ない→粘弾性が小さくなる。→生地の結合力が小さくなる。→うどん生地が切れやすくなる」ので薄力粉はよくありません。じゃあ、多ければ多いほどいいのかというと、そうでもなくて、多すぎると生地を延ばすのも、肩が凝るし、またできあがりのうどんもピンピンして、「ちょっと硬いわねぇ」という感じになります。実際には、小麦粉の大部分を占めるでんぷん質の性質も大きく影響してきますけど、たんぱくに限って言えば、うどん用には9.0〜10.0%程度の「中力粉(ちゅうりきこ)」が適しています。

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