#988 三嶋製麺所の思い出

三嶋製麺所といえば、まんのう町の三嶋製麺所が有名ですが、今回ご紹介するのは、弊社近くにある三嶋製麺所です(坂出市高屋町1314)。こちらは2026年1月6日に火災が発生し、現在は休業中です。ただワンオペに加えご主人が高齢であることを考慮すると、営業再開はハードルがかなり高い感じです。こちらのお店にはずいぶんとお世話になりましたので、備忘録を兼ねて簡単にまとめてみました。

製麺所という名前の通り、昭和の時代には近隣のお店に玉卸しをしていましたが、現在は店舗での玉売りとかけうどん提供のみです。製麺所というだけあって、店内にはミキサー、圧延機、カッター、ゆで釜など一通りの製麺機が揃っているので、その気になればいくらでも製造できますが、普段は多くでても100玉程度。普通に考えるととても採算ベースには達しませんが、ワンオペに加え年金受給者でもあるので営業継続が可能です。

売価はうどん一玉80円。量販店と比較すると割高ですが、わざわざうどん玉だけを買いにくるユーザがいるのは、それだけうどんの品質が評価されている証拠です。「うどんはコシだよ、コシ!」という声は、よく聞きますが、コシだけではそのうち飽きてしまいます。うどんに限らず食品は、食味が重要で、毎日食べても飽きないうどんというのは、やっぱり小麦でんぷんの旨味を十分に引きだしています。

かといってそれほど丁寧に作っている風でもなく、一度に2~3日分を仕込んでいます。夏場は長く置き過ぎると過熟成になり、短麺が多くなりますが、そんなときは「これは今日仕込んだ生地ではないな」と直ぐにわかります。にもかかわらず飽きずに通い続けるのは、それなりに製造のポイントは押さえているからです。以前、「夏場は、その日に打たんのやったら、生地を冷蔵庫にしもとったらどうな!」と何度か提案しましたが、結局聞き入れてもらえず、かき込むようなうどんは、数日おきに登場しました。

うどん出汁は、水をはった鍋に適当にイリコを放り込んで白だしをとり、それに市販のつゆを適当に加えてできる至って簡単なだしですが、そこそこバランスがとれているので、これまたなかなか飽きることがありません。ちなみにイリコは、ずっと鍋の底に沈みっぱなしで、アクが出る云々は一切考慮せず、徹底的にだしをとり切るという考えです。おばちゃんの時代は、旨い稲荷寿司がありましたが、現在のメニューは、ネギと蒲鉾が一切れのったかけうどん一択です(小200円、大300円)。

お昼は限られた常連さんだけですが、たまにSNSで聞きつけてやってくる一見さんもいます。のれんも看板もでてないのに、よく見つけてくるなと感心します。おばちゃんの時代は、そこそこ普通のうどん店でしたが、弟のおっちゃんの時代になってからは、店内はかなり荒んできて、よくこれで飲食店営業許可がとれたなと思うような雰囲気です。常連客でもそう感じるのだから、一見さんの中には、思い切って入店したものの、思わず後ずさりしたくなる人もいるかも。

おっちゃんが手を離せないときは、セルフで湯煎します。テボの網が破れていて、そこに干からびたうどんの切れっ端が引っ掛っていることもあります。偶に硬いうどんの切れ端が、混じっていることがありますが、これはきっとテボの網に引っ掛っていたに違いありません。

冬場になるとメニューにそばが追加されます。ただそばと言っても、小麦粉割合の高い、噛むとグルテンの弾力を感じるさぬき風田舎そばです。そういえばおばちゃんの時代、そばを食べていたときのことです。「なかなか噛み切れんそばやな!」と思ってみると、なんと・・・バンドエイド。保護色だったので、気づきませんでした。現在のうどん店では考えられないことですが、今となっては懐かしい思い出ばかりです。

かつてはいなり寿司とのセットが最高でした!