#981 美瑛カレーうどん研究会
「じゃりーん」と電話が鳴ったので、何のご要件ですかと尋ねると「私、〇〇観光の岡村ですが、実は『美瑛カレーうどん研究会』さんがそちらに研修旅行にいくので、製粉工場見学をさせていただけないでしょうか」っと。お申し出はありがたいのですが、弊社には見学通路はないし、ましてや大人数にはとても対応できませんよ、と丁重にお断りをしましたが、どうしてもとおっしゃるので、できる範囲で対応させていただきました。
「美瑛町」はどこにあるか、すぐに思い浮かびますか?北海道のど真ん中に位置し、美しい丘陵地帯が広がる町です。青い池や美しい丘が特長の四季折々の風景が魅力的な土地で、北海道観光では外せない町です。お会いした方々の名刺にも、キャッチには「丘のまち びえぃ」と記されています。県土が日本一狭いうどん県民にとっては、その広大な自然は、正に羨望の的です。
ではなぜ「丘の町・美瑛」でカレーうどんなのか?西森代表に伺ったところ、美瑛は確かに自然の素晴らしい土地柄ではあるが、観光客はなぜか美瑛町を素通りしてしまう(通過型観光)。よってなにか妙案はないかと模索していたところ、2005年3月にヒロ中田氏(当時北海道じゃらんの編集長)が、町内で開かれたシンポジウムにおいて、美瑛産小麦を使用した料理としてカレーうどんを提案されたのが契機となりました。そして美瑛町おこしの切り札として、2005年7月2日に「美瑛カレーうどん」が誕生。
今年は美瑛カレーうどん誕生20年を迎えました。その経済効果は、累計で27億円に迫り、いまや美瑛を代表するグルメとして観光客を引きつけています。そしていまでは次のように「美瑛カレーうどん6ヵ条」として正式に規定されています:①正式名称は「美瑛カレーうどん」②美瑛産小麦粉「香麦」を使用③うどん麺とカレールウを別々に盛った「つけ麺」スタイル④美瑛産豚及び美瑛産の野菜を使用⑤「びえい牛乳」を添える⑥価格は1200円(税込)以下。
前置きが長くなりましたが、弊社製粉工場見学の理由は、うどんつながりでした。はるばるうどん県まで研修にきたので、その原料小麦粉を製造している製粉工場を見学したいという欲求は自然な流れとのことでした。
玄米の精米も小麦の製粉も、原理は同じで粒の胚乳部分をとりだすことですが、両者は技術的には大きな違いがあります。つまり玄米は白米部分が硬く表面の米ぬか部分が軟かいため、表面を軽く研磨するだけで精米作業は完了します。コイン精米機は、全国いたるところで見かけますが、これは精米工程が簡単であるために自動化が容易であるからです。
一方、小麦は強靭な食物繊維が脆い胚乳部分を包んでいます。よって精米と同じように表面を削る方式では、どうしても小麦粉に表皮の混入が避けられません。よって手間隙はかかりますが、段階的に小麦粒を小さくしながら、できる限り小麦ふすまの混入を避けながら、小麦粉を取りだします。そしてそのためには多種多様な機械が必要となることを、説明させていただきました。玄米と小麦の違いは一言でいうと、「玄米はサトイモ、小麦はカニのような構造」なのです。神様はなぜ小麦をこんな面倒くさい構造にしたのかは不明ですが、小麦粉は確かに手間暇かけるだけの価値ある食材なのです。
最後に北海道のお土産といえば、なんといっても「びえいのラスク」と「美瑛カレーかりんとう」。美瑛カレーうどん研究会さん、どうもありがとうございました。かりんとうは甘いイメージがあるため、甘いのか辛いのか予想がつかず、恐る恐る噛んでみると、ピリッと美瑛カレーうどんの辛味が口内に拡がりました。みなさんも北海道旅行にでかけた際には、「びえいのラスク」と「美瑛カレーかりんとう」を是非どうぞ。
