#977 HB使用のうどん②・・・手打ちうどんとは異なる、しかし便利!

HBレシピうどんは、レシピ通りだと加水率57.6%(水54.3%+塩3.3%)となり、これは手打ちうどんの基準では、超多加水かつ低塩水濃度となるため、軟かいサラサラ食感になります。これはこれで良いのですが、中には物足りないと感じる方もいるかもしれません。では通常の手打ちうどんレシピ加水率50%(水45%+塩5%)をHBのパンケースに放り込むとどんなうどんができるのかチャレンジしました。この場合、加水率が少ないために、HBのミキサーでは、うまくまとまらないことが予想されます。

実際、できあがった生地は画像の通り、一つの塊にはまとまりませんでした。加水率50%(水45%+塩5%)の条件では、この1枚羽根ミキサーでは能力不足は明らかです。そこでこのバラバラの生地を手動でひとつにまとめ上げ、熟成後延ばしてゆでてみました。結果は前回同様、軟かい「鳴門うどん」風食感のうどんとなりました。手打ちうどんのコシをだすには、この1枚羽根ミキサーのみでは難しく、さらに捏練(こねる作業)工程が不可欠です。

次は試しに加水率55%(水49.5%+塩5.5%)の条件で試したところ、ほぼほぼ1つにまとまりました(画像参照)。多少手の力を借りて成形し、しばらく熟成させた時点では柔らかすぎるため、冷蔵庫にしばらく放り込んで生地を少し硬くした後、延ばして切りました。結果は、やはりこれまで同様、軟らかな「サラサラ食感」のうどんとなりました。

当たり前のことですが、水を多くすると、当然生地は軟らかくなります。一方、塩は生地を引き締める性質があるので、塩は多くなるほど、生地は延ばしにくくなり、「塩」と「水」では全く逆の効果となります。よって一口に加水率50%といっても、(水45%+塩5%)と(水47%+塩3%)では、後者の方が圧倒的に延しやすくなります。また「気温」も大きな要因です。同じ条件で気温が高くなれば、生地は軟らかくなります。よって夏季は塩度を高め生地をだれにくくし、冬季は塩度を低くし延びやすくします。

通常の手打ちうどんレシピを適用すると、HBでは生地がひとつにまとまりませんが、この事実は水回しも不完全であることを示しています。一方、パンの場合は、加水率が70%と高加水であるので、この1枚羽根でも十分な水回し(混合)と練り(捏練)の両方が可能です。つまり加水率が少なくなるほど、水回しの重要性が増します。またうどんの場合は、先程説明したように、同じ加水率でも食塩の多少により状況は全く異なるので、見かけの加水率だけでの判断は禁物です。

HBレシピ(中力粉:460g、塩:15g、ぬるま湯:250g)では、加水率57.6%(水54.3%+塩3.3%)となりますが、純粋に真水部分は250÷460=54%となるので、この辺りが水回しを意識せずに、生地を捏ねることができる目安かなと考えます。以下、HBレシピのうどんについて簡単にまとめてみました。

利点はなんといっても、その簡便性です。通常であれば、水合わせや足踏み工程などで、ボウルやビニール袋が必要となりますが、そういった作業がHBのボタンを押すだけで、すべてパンケース内で完結します。これはとても便利です。超多加水での作業となるため、生地が軟らかくなり、平めんになりやすいのは仕方ないですが、そこで温度調整をうまくやれば、ある程度の改善は可能です。よってHBレシピうどんもそれなりに価値はあると思います。

HBはボタンを押すだけで美味しい食パンが焼き上がる素晴らしい家電です。同様に手打ちうどん生地製造に特化したミキサー機能(混合機)とニーダー(捏ね機)機能を兼ね備えたハンディな家庭用の混捏機(こんれんき、混合と捏練を兼ね備えた機械)が登場しないものかと、つい家電メーカーに期待したくなります。