うどん県も諸物価高騰のあおりを受け、うどん価格は上昇中。現在、お気に入りのお店のかけうどんは一杯380円となりました。都内ならこれより高い立ち食いのうどんも珍しくありませんが、うどん県のかけうどんとしてはかなり高い方です。ただ、うどんやだしの品質を考慮すれば、実に良心的な価格といえます。さて、今回はイラスト担当者による新着情報をお届けします。

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鶯歌(おうか)を堪能した私たちは、この日あと二つのミッションが残っていました。すぐさま台北駅へ戻り、次に目指すは「十分(シーフェン)」。十分は台北のずっと東方に位置します。ローカル線を一度乗り継ぎ、郊外へ向かうにつれて車内は閑散とし、夕日が落ちてあたりは暗くなり、やがて雨も降り始めました。十分到着は18時半。

古い街並みが残る十分の名物といえば、何といっても「ランタン飛ばし」。十分老街には土産物店や飲食店が立ち並び、そこでランタンも購入できます。ランタンは色によってご利益が異なり、赤は健康運、黄は金運、青は仕事運、紫は勉強運といった具合です。Aと私は即決で4色ランタンを選び(なんという強欲さ!)、それぞれ願いごとを書き入れました(右画像)。

線路上に移動し、いよいよランタンに点火。瞬間、ふわっとあたりがオレンジ色の灯りに包まれました。真っ暗な夜空へと、オレンジの光がゆっくり吸い込まれていく光景は、何とも幻想的でした。滞在時間は1時間ほどでしたが、ランタン体験には大満足。次はいよいよ最終ゴール「九份(きゅうふん)」です。

時刻はすでに19時半。ここから電車で九份へ向かうと、乗り換えを考慮しても到着はかなり遅くなりそう。九份の街を飾る提灯(赤いランタン)の点灯は21時までなので、焦ります。ところが幸運にも、他の日本人客が予約していたタクシーに同乗させていただけることに。

真っ暗な山道を車が発進すると、ドライバーさんの運転の荒いこと! 急ブレーキの連続で身体も頭も左右に揺れ、車酔い寸前。ぐっとこらえて隣の友人Aを見ると、「私もやばい…」と掠れ声で返事がありました。一方、私たちをよそに同乗の日本人3名は平然とスマホを見ながら談笑。30〜50代の男性で、どうやら職場仲間の旅行のようでした。

30分ほどの爆走ののち、彼らは途中で下車。その後も荒れた運転が続くこと20分、私もAも吐き気の限界を迎えながら、ついに九份に到着。このとき時刻はすでに20時半。

我慢した甲斐あって、小雨の中で幾重にも連なる提灯の灯りが幻想的に輝き、その光景に圧倒されました(右画像)。ここはジブリ映画『千と千尋の神隠し』のモデルにもなったといわれています。九份老街と呼ばれる街並みは、階段状の細い路地が続き、上の展望台からは反対側の海や港を見下ろすこともできます。日本からの観光客が多い人気スポットですが、遅い時間のため人出も少なく、快適に散策できました。

提灯が消えたあともしばらく夜道を歩き、満足した頃には時刻は22時。ミッションをすべて達成したので、あとは台北に戻るだけです。時刻表を見るとまだ最終バスがあるようだったので、バス停で先客4人の後ろに並びました。しかしいくら待ってもバスは来ません。4人のうち2人は日本人のようで、会話から察するに時刻表が誤っている様子。

そこで私たちはアプリでウーバータクシーを手配。15分ほどで到着しましたが、日本人2人を置き去りにするのも気が引けて、「一緒に乗って帰りませんか?」と声をかけました。2人は驚いた様子でしたが、すぐに安堵の笑顔を見せ、同乗することに。聞けば、彼らも台北駅近くのホテルに宿泊しており、行きも帰りも同じ便を利用していたことが判明(日本人グループなら当然といえば当然?)。

ただ、彼らの旅程は台北市内観光、野球観戦、九份観光といったゆったりプラン。一方、私たちはこの日だけで鶯歌・十分・九份を制覇したと話すと、えらく驚かれてしまいました。友人Aによる無茶振りの弾丸プランでしたが、なんとか完遂。おかげでしっかり思い出を作ることができました(が、二度とやりたくないですね)。