#965 R7香川県産小麦の作柄は90%
R7年7月28日に「第27回香川県麦民間流通地方連絡協議会」が開催され、今年の香川県産小麦の作況等についての報告がありました。この協議会の目的は、国産小麦の円滑な流通及び需要に即した良品質麦の生産を促進、つまり簡単に言うと、生産者と実需者が協力して国産小麦の需要拡大に努力しましょうということです。昨年の「さぬきの夢2009」の集荷数量は、8,232t(予想)↓5,600t(実績)となり、単収は239kg/10a(予想の68.0%)と大きく減少しましたが、今年はやや持ち直しました。以下、簡単に報告です。
【令和7年産小麦の結果】
R7産「さぬきの夢2009」については播種適期の11月の降雨により一部播種ができず、その結果、作付面積は1,977ha (予定2,212haより235ha減)。また収量は6,800トン(予定数量7,520トンの90.4%)。また今年より生産が始まった「さぬきの夢2023」は、作付面積80ha(予定129ha)に対し収量308トン(予定437トンの70.5%)。パン用硬質小麦はるみずきは、作付面積195ha(予定210ha)に対し収量715トンでした。
【令和8年産小麦の方向性】
「さぬきの夢2009」は今年から3年かけて「さぬきの夢2023」に移行し、R9産には全面切替予定となっています。R8年産小麦は、はるみずき200ha、「さぬきの夢2009」1,400ha、「さぬきの夢2023」700haの合計2,300haの作付けを予定しています。
【国産小麦の宿命】
昨年11月の播種が十分でなかったために今年(R7)の収量は予定の90%程度に留まりました。通常であれば「まあ仕方ないなあ」といったところですが、昨年(R6)が天候不順による凶作(予定の68%程度、#919)が尾を引いているために供給不足の感は否めません。たちまち困るということはありませんが、来年(R8) は豊作となり、なんとか一息つける状況になってほしいところです。国産小麦は、天候の影響を受けるために豊凶変動は避けることができません。よって安定供給のためには年をまたいだ保管制度を確立してほしいところです。
【「さぬきの夢2023」の製麺適性】
今年は「さぬきの夢2023」が308トン収穫 されました。商品化にはまだまだ足りませんが、とりあえず弊社でもテスト製粉することができましたので、以下簡単に説明します。昨年も小麦粉サンプルは使用したのでおおよその感じは掴めてはいますが、自社製粉となるとまた気持ちが高ぶります。
小麦という穀物の特性上、本来は数ヶ月寝かせた後に製粉する方が、品質が安定するのですが、「うどんの日(7月2日)に合わせて打ってみたい」との要望が強く、少々フライング気味ではありましたが、製粉することになりました。
今回テスト製粉した「さぬきの夢2023」は、想定したほどタンパク含有率は高くはありませんでした。しかし「さぬきの夢2023」のタンパク質には、強度の強いグルテンインデックスという成分が多く含まれているせいか作業適性は良好でした。たとえば従来であれば製麺後数日経過した生うどんをゆでると短麺がそこそこ発生していましたが(つまりつながり強度が不足してうどんが切れる)、「さぬきの夢2023」うどんにはそれがほとんど発生しませんでした。つまりそれだけグルテンの強度が強いということの証です。そのせいか食感もとてもしっかりでした。
一方、食味の方はあっさり系もしくはさっぱり系で、「さぬきの夢2009」と比較すると薄いか感じる方もいるかもしれませんが、素直ですっきりとした食味です。グルテン強化されている小麦のせいか全体としては北海道小麦を連想させる仕上がりになっていると感じるのは私だけでしょうか。
「さぬきの夢2023」生うどん
「さぬきの夢2023」乾麺