#883 新品種「さぬきの夢2023」うどん食試食会@丸亀町グリーンけやき広場

11月18日(土)と19日(日)の両日11時~15時、高松市丸亀町グリーンのけやき広場において新品種「さぬきの夢2023」100%を使用したうどんの試食会が開催され、各1,000食ずつ合計2,000食が無料で振る舞われました。18日は開始1時間半前から行列ができる盛況ぶりで、多くの来場者が新品種のうどんに舌鼓を打ちました。

これまでご説明している通り「さぬきの夢2023」は、グルテンのバランスが良くコシが強く切れにくいといった特長があります。試食されたリポーターのお姉さんは、「もっちりとした弾力とつるつるとした喉越し食感とのバランスがいい!」、また香川県農業生産流通課の古市課長は、「コシがあっておいしいという声もたくさんいただいている。香川県産小麦100%のうどんを、これからも県民の皆さんに召し上がっていただけるよう推進していく」とのコメントされました。

また当日試食された一般の方々からは、「おいしいです。何杯でもいけます」、「初代さぬきの夢よりもちもちとして良くなっている」、「県産小麦で作ったうどんを幅広い人々に食べてもらうことは、香川県民としても誇りに思う」、「週三回くらいはうどんを食べているので、(さぬきの夢2023のうどんは)一味違うなと感じました」といった様々な感想をいただきました。また試食会に合わせて「うどんの形状、コシ、味などについてのアンケート」も実施し、この結果は製粉業者、うどん店、生産者などで共有し、さらなる改善に活かす予定です。

われわれも18日(土)は、丸亀町グルーンに12時半ごろ到着しました。「試食会はやっているが人だかりが少ないな!」と思っていると、実は早々に売り切れ御免となっていました(残念)。会場では、さぬきうどん協同組合の大峯理事長が、自ら陣頭指揮にたち、うどんを湯煎されている姿を拝見。さぬきうどん協同組合が「さぬきの夢2023」にかける期待度の大きさが伝わってきます。

さてここで地元新聞に掲載されていた香川県農業試験場・大山興央場長の「さぬきの夢2023」誕生までの経緯や苦心についての記事を簡単にまとめておきます。讃岐うどん用小麦といえばASWが主流でしたが、1988年のうどんブームの最中、「讃岐うどんなのに、原料がオーストラリア産とはいかがなものか。県産小麦を使った、地元ならではの風味を持ったうどんを」という声をきっかけに1991年に讃岐うどん用オリジナル県産小麦の育種がスタート。それから10年近く経過した、2000年に初代となる「さぬきの夢2000」が完成します。

初代「さぬきの夢」は、味、食感、風味とも優れた小麦でしたが、より強いコシ、高収量を求めて2009年に改良された品種が二代目となる「さぬきの夢2009」。そして今回、更に改良されたのが三代目となる「さぬきの夢2023」です。最大の特長はタンパク質の含有量とグルテンの質。二代目の味や香りなどの特長は引き継ぎつつ、タンパク質の含有量率アップで製麺時の課題であった「切れやすい、伸びやすい」という2点を改善しました。

特に3代目開発における特長は、2018年に導入された「DNAマーカー」という選抜技術です。DNAマーカーとは、ある性質を持つ個体に特徴的な塩基配列のことで、これを遺伝子分析の際の目印として活用します。例えばグルテニンというタンパク質については、製パン性・製麺性を向上または低下させる遺伝子型が明らかになっていて、それぞれを検出できるDNAマーカーが開発されています。つまり(向上/低下)させる遺伝子マーカーを検出することで、製パン性・製麺性の(良/否)が判断できるのです。しかもDNAマーカーは生育初期の葉を採取して分析すれば、その有無を判別できるので、収穫まで待つ必要はなく、大幅な時間短縮と効率化が可能になりました。今回は、「グルテニン」の遺伝子に着目し、DNAマーカーを用いた選抜技術が活用されました。よって三代目は「適度なコシ」と「高い製麺作業性」が遺伝的な素質として持つことが確認されているのです。今後の予定としてはR6(10ha≒30㌧)、R7(100ha≒300~350㌧)、R8(900ha≒2,700~3,150㌧)、そしてR9には全面切り替えとなります。どうぞご期待ください。