#835 神谷(かんだに)神社再建に向けて

あれは2022年9月27日のお昼過ぎのことでした。雨が降り始めたと思ったら、ピカっと光った途端に、ドカーンと轟音がとどろき、その内に消防車がウーウーとサイレンを鳴らしながら走っていきました。一体どこに落雷したんだろう思っていたら、なんと国宝・神谷神社の大棟に落雷して燃えているではありませんか。国宝ゆえ境内には自動消火設備等も完備されていましたが、皮肉にも落雷により使用不可となり4時間ほど燃え続けました。

創建当時の古材も一部炭化してしまいましたが、幸い懸命の消火活動により国宝としての価値は毀損されずにすみました。ただ修復には多額の費用が必要です。国宝というからには費用はすべて国庫負担かと思いきや、一定額の地元負担も必要であるとのことですが、氏子が少ない神谷町では十分な財源が見込めず、クラウドファンディングにお願いすることになりました。余談ですがこれまでクラウドファンディングとはネットを通じて寄付を募る活動なのでcloud funding であると信じて疑いませんでしたが、実際は群衆(crowd)と資金調達(funding)を合わせた造語でした(恥)。

うどん県には国宝の建造物が2棟あります。1棟は三豊市にある本山寺本堂、そしてもう1棟が今回落雷により被災した神谷神社本殿です。神谷神社は、弊社から2kmほど南に位置します。弘仁3年(812年)、香川県坂出市神谷町にて創建され、現在の本殿は、鎌倉時代初期の建保7年(1219年)に創建されました。三間社流造(さんげんしゃながれづくり)という神社建築様式としては現存する国内最古の社殿で、昭和30年には国宝に指定されました。三間社流造という建築様式は、神社本殿を正面から見ると4本の柱があり、その柱間(はしらま)が3つあることから「三間社」、また側面からみると屋根の形状が対称ではなく、正面側の屋根が長く流れるように延びていることから「流造」という意味です。

地図アプリで神谷神社をご覧ください。神谷川が流れているこの谷間でその昔、神々が遊んだというのが「神谷」の由来です。神谷神社から東方に延びている山道は、遍路道本道とは異なり、早くから開かれた神谷参道とよばれる参詣道です。この神々が遊んだという谷間を登っていくと鞍谷池(くらたにいけ)西側の峯上にある下馬石(げばいし、寛政六年三月再建)があり、ここから更に崇徳天皇白峯陵、四国霊場第81番札所・白峯寺へと続きます。下馬とは、これからお寺の境内に入るので、馬から降りてくださいという意味です。みなさんもうどん県にうどんツアーにこられた折には、うどんを堪能された後には是非、国宝神谷神社にもお立ち寄りください。

本殿はこれから直ちに修理に取りかかるのではなく、まず綿密な調査を実施した上で、部材1つ1つの価値を見定めながら修理を実施していくことになります。繰り返しますが再建事業を実施するにあたっては、神谷神社及び現在の氏子だけは負担が大きすぎるため、地元負担を軽減するためにも、クラウドファンディングに頼らざるを得ません。800年間守り続けた姿を取り戻し、国宝神谷神社を未来に継承するためには、「本殿の再建プロジェクト」の成功が不可欠です。どうか皆様方のご寄進を心よりお願い申し上げます。

 

現在の神谷神社

大棟の手前側、千木木口飾りに落雷

 

右奥が神々が遊んだという谷間