#773 「こむぎや」さん再開@2021年7月30日

嬉しいお知らせがあります。昨年からのコロナ禍で、うどん業界には良いニュースは何もありませんでしたが、やっと嬉しいニュースが飛び込んできました。なんと「こむぎや」さんが営業再開されました。地元の名店、こむぎ屋さんが閉店したのは、2018年4月11日(#615)。当時は、大将の奥さんが腰の手術で入院、また他にも故障者がでたため、止む無く閉店に至りました。その後、他のうどん店が営業を継続されましたが、生憎のコロナ禍により昨年5月に閉店。

そしてこの春、突然軒先に「こむぎや営業再開準備中」との案内が掲示。当初は、GW明けの再開を目指していましたが、諸事情により最終的には7月30日オープンとなりました。お気づきかも知れませんが、同じ店名でも、以前は「こむぎ屋」、そして今回は「こむぎや」とひらがな表記となりました。開店は11:00ですが、開店前に店内は既に満席で、如何に以前の常連さん達が、再開を楽しみにしていたのかが良くわかります。店内の導線は、以前と同じですが、内装が一新されたので、とても明るく清潔になりました。

さて肝心のおうどんですが、迷うことなく以前大好きだった「釜あげうどん」を注文。理由は小麦粉の風味がダイレクトに感じられるからです。しかしいつまで経っても出てくる気配がありません。あれほど準備万端整っていたはずですが、お聞きすると釜の調子がどうも本調子でないようでした。そこで釜あげを諦め、次に好きだったわかめうどんを再注文。お店によっては、素うどんの上に冷たいわかめを載せただけのところもありますが、ここのわかめは適温までに温められ、そのわかめが出汁と絶妙に絡み、「これぞわかめ出汁」という状態に仕上がっています。出てきたわかめうどんの出汁を啜ってみると、3年前の記憶が蘇り、当時と同じわかめうどんであることを確認しました。

初日は釜の不具合でちょっとつまづいたので、開店2日目も再チャレンジすることに。到着すると既に行列が伸びていて、着座まで暫し待つことに。注文は直球勝負の「かけ大」。実は、最近はどこに行っても、必ず「小」を注文しているのですが、こむぎやなので、思わず「かけ、大!」と条件反射で注文してしまいました。しかも汗が吹き出ることもわかっているのに。果たしてでてきた「かけうどん」は、正しく3年前のそれでした。コクのある出汁に、小麦の風味が感じられる粘りのある麺。何気ないように作っているのに、旨さが一つ抜き出ている感じがします。

誰もが知っているS級店は、うどんツアー客による行列ができますが、こむぎやさんは地元客による行列ができる数少ないうどん店の一つです。息子さんが早期退職を決心されたおかげで、こうやって再びこむぎやさんのおうどんに再会できて本当に嬉しいです。同じ食材を使用しているのに、ビミョーに異なる出汁と麺。改めてうどんの奥深さを再認識しました。こういう特色のある専門店が今後も増えていけば、うどん県の魅力も益々アップすること間違いありません。皆さんにもっと知ってほしいような気持ちがある反面、あまり繁盛店になると行きづらくなるし、なんとも複雑な心境です。いずれにしても「こむぎや」さんが再開してくれて本当に嬉しい。

【きれいに明るくなった店内】