#616 平成28年度小麦粉及びお米の需要

f616平成28年度の食料需給表が農水省のサイトにアップされていたのでご紹介します。ここでは、米、小麦、大麦、裸麦の4品目についてのダイジェストをお届けします。まずは簡単に表に見方から。

【仕向量(しむけりょう)】
第5列目にある「国内消費仕向量(しむけりょう)」とは、単純に1年間に国内で消費に回された数量のことで、国内生産量+輸入量-輸出量±在庫増減量となります。小麦についていうと、国内生産が85.5万t、輸入が562.4万t、輸出はゼロで、在庫が20.6万t減ったので、日本国内での需要は、85.5+562.4-0+20.4=662.1万tとなります。

【粗食量】
粗食量とは、国内消費仕向量のうち、食用に使用される量をいいます。小麦は、国内消費仕向量662.1万tのうち536.2万tが粗食量、つまり食用に供されることになります。よって食用に使用される比率、粗食率は81.0%となります。言い換えると、2割程度は飼料など、食品以外の用途に使用されます。尚、流通過程(生産現場の農場から、輸送、貯蔵等を経て家庭の台所等に届くまでの段階)において失われる量が少なからず存在し、これを減耗量(げんもうりょう)といいます。小麦の減耗量は16.6万tと意外に多く、これは粗食量以外として分類されます。

【歩留りと純食料】
食用にまわる量が、粗食量ですが、これが全て食品として口に入るわけではありません。例えば、キャベツの「しん」とか、魚の頭部、内蔵、骨などは食用にはなりません。よって粗食量のうち実際に食品になる量を「純食料」といい、その割合を「歩留り」といいます。米の場合、10%程度の米ぬかを削りとるので、歩留りは90.6%で計算されます。

小麦には、小麦ふすまという表皮部分が約13%含まれます。小麦ふすまは、良質の食物繊維ですが、一般には食用とはならず家畜などの飼料となります。小麦ふすまは、胚乳部分にこびりついているため、小麦ふすまだけをきれいに取りきることは難しく、約20%が小麦ふすまとして処理されます。よって小麦の歩留りは、78.0%として計算されています。言い換えると小麦からは78%が純食料(小麦粉)として使用されます。

ただ一口に小麦粉といっても、様々なグレードがあります。同じ胚乳でも中心部分はきれいに冴えた淡黄色であるのに対し、周辺部に近づくほど少しずつくすんできます。また中心部分からは、粘弾性に富んだ美味しいうどんができますが、周辺部分の胚乳部分からは、あまり食感の良いうどんはできません。よってうどん用に限ると、小麦粉の歩留りは60%程度と低くなります。

【1人当たりの消費量】
米の純食料、つまり白米は690.2万tとなりこれを人口で割り算すると、1人当たり54.4kg。これは1日に換算すると、149gになります。お米一合(150g)を浸漬すると約200gになり、これは炊飯後には350gとなります。お茶碗一杯のご飯は150g、コンビニのおにぎりは100g、レトルトご飯1パックは200gです。よって私たちは毎日、コンビニのおにぎり3.5個、もしくはお茶碗2杯強のお米を摂取していることになります。

一方、小麦粉については、毎日90gの小麦粉を摂取しています。小麦粉はゆでうどんに換算すると約3倍になります。つまりゆでうどん1袋(200g)は、小麦粉換算で約70gとなるので、私たちは毎日少し大きめのうどん1玉に相当する小麦粉を摂取していることになります。

【米と小麦粉の消費量の推移】
おにぎりは、美味しいのですが、米の消費量はここ50年以上ずっと、減少し続けています(#345)。一方、小麦は漸増しながら最近は、ほぼ横ばい状態が続いています。生活が豊かになると、食生活もリッチになります。すると副食が増えるに従い主食が減る傾向にあります。そういった中で、小麦は、麺類、パン、菓子など多用途に使用されるので、なかなか健闘していると言えます。

注)下記表中の人口の単位は(千人)です。

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