#594 クラシック音楽の楽しみ方

f594今年も残すところ2ヶ月足らずとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。秋雨前線が活発なせいか、今年の讃岐は特に雨が多く、農家の方々も予定のやり繰りに色々ご苦労されているようです。さてイラスト担当者による新着情報をお届けします。
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クラシックコンサートというと、観客の大半は年配もしくはマニアの方というイメージがあるかもしれません。私は高校から大学までずっと音楽を専攻していましたが、やはりそこでの主流はクラシック音楽でした。ジャズは最近では、音楽大学でも徐々に市民権を得ているようですが、ポップスとなるとまだまだで、学ぶとなると専門学校位しか思い浮かびません。私は学生時代、ずっとクラシック音楽漬けの生活を送りながら、大きな声では言えませんが、クラシック音楽を聴くことがそこまで得意というか好きではありませんでした。

得意でない個人的な理由としては、やはりクラシック音楽特有の「静かに演奏者に集中して聴くというスタイル」がルール化されているように感じ、それに対し何となく息苦しく感じるからです。もちろん音楽理論や曲の背景をしっかり理解していれば、演奏に対する興味や想像力は大いにかかきたてられます。しかし私の場合は、やはりクラシックが性に合わないのか、鑑賞中は興味や関心が集中している状態と退屈でぼーっと聴いている状態が半々なのです。だから予備知識がない方が初めてクラシック音楽を聴くと、やはり私以上に退屈さを感じてしまうかもしれません。

先日、誰もが知っている立派なホールで一流のオーケストラの演奏を久しぶりに聴きました。その時会場で配布されたプログラムをみると、「演奏中のマナー」として10カ条ほど注意書きがありました。「演奏中は話さない」というのはクラシックコンサートなら当然ですが、中には「飴の包み紙を開ける音は迷惑なので、演奏が始まる前に飴は口の中に入れておきましょう」とか「プログラムのページをめくる時は注意しましょう」とか「リズムをとると周りのお客さんに迷惑です」といった細かい注意書きまであり、少しびっくりしました。

勿論、全てのクラシックコンサートでこのような注意書き付きのプログラムが配布されるわけではありませんが、今回はまさしくそのケースで、私はここまで細かく規定されていることに対し、少し閉口しました。確かに、演奏に集中したい時、今挙げた注意事項が破られると集中力が削がれてしまうことは理解できます。けれど、そこまで聴く態度を細かく制限してしまうのは、少しやり過ぎのような気がします。より多くの人たちにクラシック音楽を親しんでもらうためには、ハードルを下げることが必要ですが、その辺りの線引きがなかなか難しいようです。

f594_2と、少しネガティブなことを書いてしまいましたが、今回のコンサートの内容は本当に素晴らしく素直に感動しました。今まで全く集中して聴いたことのなかった「現代音楽」が一曲入っていたのですが、途中から変拍子が気になり、指揮者の動きを追い続けたせいか、20分間の演奏もあっという間に過ぎてしまい、演奏終了時には、私もすっかり疲労困憊でした。またクラリネット奏者のソロでは、息継ぎなしの長いフレーズに思わず自分も息止めチャレンジ。更に弦楽器のどのパートが、一番統率が取れているのだろうと、色々観察してみたことも、個人的には楽しかったです。

ちなみに隣で聴いていたクラシック音楽が素人の友人に終演後、聞いてみると、「足を前の椅子に投げ出している遠くのお客さんの様子が気になった」とか「カーテンコールがやたら長く、何回指揮者が出たり入ったりするんだ」との感想が返ってきました。音楽そのものの感想がなく、改めてクラシック音楽のついて考えさせられた一時でした。