#564 森谷敏夫式「炭水化物摂取ダイエット」

f564飽食の時代を迎え、巷では様々なダイエット方法が氾濫しています。特に最近は糖質オフダイエットといった「糖質を控える」ダイエット方式をよく耳にしますが、今回ご紹介するダイエットは、森谷敏夫先生が提唱する「炭水化物摂取ダイエット」。これは「糖質オフダイエット」に警鐘を鳴らし、炭水化物を正しく摂取しながら健康的にダイエットを実践する方法です。先日、森谷先生のご講演を直接お聴きし、ショックを受けたのでご報告いたします。

京都大学名誉教授という肩書から想像するに、てっきりご高齢で柔らかな物腰の先生かと思いきや、それらしきお姿は見当たりません。喋り始めた講師のお方は、体型やその身のこなし方から察するにどうみても40代以下にしか見えません。てっきりピンチヒッターが登壇したと信じて疑いませんでしたが、実はその御方が66歳になる森谷先生と知り、びっくりしました。身長171cm、体重67kg、体脂肪率9.8%の健康体。自ら「京大のマサイ族」を名乗り、先生の肉体そのものが研究成果そのものと公言して憚りません。

森谷先生のご専門は「応用生理学とスポーツ医学」。自らを被験者として、肥満、運動、栄養、筋肉について長年にわたり実験を重ねた結果、現在は週3回の30分程度のトレーニングと週二回の空手、たまのゴルフ(ティーショットは250ヤード)だけで、30代の肉体と体力を維持しています。その先生が自ら実践し、結果を残しているのですから、認めないわけにはいきません。事実に裏付けされているので、説明一つひとつに説得力があります。正しいことを実践すれば、年齢に関係なく体力維持が可能であることを思い知りました。以下簡単に気づいた点を箇条書きにしてみました。

① 【糖質オフダイエットは危険】
糖質は脳の唯一のエネルギー源として重要で、摂取カロリーの60%は糖質から摂取するのが栄養学の常識。食事から糖質を摂取できないと、身体は蓄えられた非常食のグリコーゲンを使用する。グリコーゲン1個は、糖質1個と水分子3個からできているので、グリコーゲン1個が使用される度に、水3個の分子が体外に放出され、これが体重減少に繫がる。よって「糖質オフダイエット」は「水の泡ダイエット」である。つまり元の食事に戻ると、グリコーゲンを生成するために水分子を取り込み、あっと言う間にリバウンドしてしまう。

②【肥満は1日僅か20kcalの食べ過ぎが原因】
脂肪1kgは7200kcal。よってお腹回りの贅肉を1kg減らすには、単純に考えれば毎日20kcal(ティースプーン一杯の砂糖)を控えるか、もしくは毎日20kcalを余計に消費する生活を1年続ければOK。一方人間は20歳を過ぎると、毎年基礎代謝量(何もしないでも使うエネルギー)が1%ずつ落ちる。つまり1日2000kcalの食事で体重バランスをとっているとすると、同じ生活を続けたとしても1年で1kgずつ太る計算になる。

③【運動による健全なダイエット】
肥満の原因第1位は運動不足。逆にいえば運動することが肥満解消の最善策。基礎代謝は全体の消費エネルギーの60%を占めるので、基礎代謝を上げることができれば、「生きているだけでダイエット」が実現できる。「運動をする⇒筋肉が増える⇒基礎代謝も上がる」という関連性があるので、運動は重要である。特に足腰の筋肉は大きいので、鍛えることで基礎代謝が大幅にアップ。大人になって基礎代謝が落ちるのは、全体の筋肉量の減少が主たる原因。

森谷式「炭水化物摂取ダイエット」は、一言で言うと①定期的な運動を行い、できる限り基礎代謝の低下を防ぐ。②糖質は必要量摂取し、脂質はできるだけ控える。③日常から少しでも身体を動かすクセをつけエネルギー消費を図る、もしくは毎日20kcalの余分な摂取を控えるといった地道な積み重ねが必要。といったところでしょうか。興味を持った方は、よろしければ下記の著書もご参考にどうぞ(先生は存在感バッチリでしたが、本のタイトルはとっても地味です)。

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