#518 瀬戸内国際芸術祭2016・春編

瀬戸内国際芸術祭2016・春編

瀬戸内国際芸術祭2016・春編

イラスト担当者による新着情報をお届けします。瀬戸内国際芸術祭2016がいよいよ3月20日にオープンしました。3度目となる今回は、開催期間が春季(3/20-4/17)、夏季(7/18-9/4)、秋季(10/8-11/6)の三期に分かれています。正直6年前に第1回瀬戸芸が始まったときは、今後どうなるのだろうと心配しましたが、回を重ねる毎に注目度は高まるばかりで、関係各位方々のご努力は相当であろうと推察します。イベントは立ち上げるのも大変ですが、それを維持し続けるのは、更に違ったご苦労があるはずです。

芸術についてはズブの素人ですが、展示されている作品をみていると、日常のありふれた素材を利用しながら、独創的な着想により、実に斬新かつ魅力的に表現されているものだと感じ入ります。また多くの作品は、地元の人たちの協力により製作されている事実を知ると、否が応でも、瀬戸芸に対する関心度がアップせざるを得ません。
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そらあみ<島巡り>

そらあみ<島巡り>

いよいよ瀬戸内国際芸術祭が開幕しました。私も早速3つの島を巡ってきたので、今回はその模様をお伝えします。まず沙弥島(しゃみじま)。春期限定開催となるこの島は、かつては海に浮かんでいましたが、今は埋め立てられ坂出市と陸続きになっています。

「そらあみ<島巡り>/五十嵐靖晃」(右画像)では、漁に使用される網がカラフルに着色され、見る角度によって変化する色の濃淡や周りの景色との調和具合などがとても面白い作品でした。制作には多くの地元住民も手伝ったようで、砂浜には立て札に一人ひとりの名前が書かれていました。このように自らが一アーティストとなって関われることも、魅力の一つだと思います。

空飛ぶ赤いボタン

空飛ぶ赤いボタン

また、今では廃校となった旧沙弥小学校も作品展示の場として新たに蘇っています。「空飛ぶ赤いボタン/戸矢崎満雄」(右画像)では沢山の赤いボタンが天井からハートの形に吊るされています。注意して見ると、どのボタンも個性的でつい自分のお気に入りを見つけたくなってしまいます。そしてこのボタンも地域住民に呼びかけて集めたもので、決してアーティストひとりの力だけでは完成しません。言い忘れましたが、沙弥島には東山魁夷せとうち美術館があります。近くに来られた際には是非お立ち寄りください。

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女木島(めぎじま)

そして女木島(めぎじま)・男木島(おぎじま)。この2つは高松空港からフェリーに乗り行くことが出来、いずれも人口が170人ほどの比較的小さな島です。(右画像)はじめに女木島で降りました。船が着くと早速沢山のカモメたちが迎えてくれます。「カモメの駐車場/木村崇人」(下イラスト)そしてどこからかピアノの音色が聴こえると思えば…「20世紀の回想/禿鷹墳上」(下イラスト)。いずれも空や海の青が背景になるからこそ、より鮮明に写るように感じました。

 

カモメの駐車場

カモメの駐車場

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20世紀の回想

また、男木島は女木島に比べると作品数や飲食施設が充実しているようでした。作品も印象的でしたが、徒歩で巡っていると「坂」と「猫の多さ」に圧倒されます。急な坂を上った先に作品展示がされていることが多々あり、その道中に住宅が並んでいるとその地形ならではの生活の苦労が垣間見えました。また、島民より明らかに猫のほうが多く遭遇しただろう、と感じるほど島のあちこちにいます。(下画像)陽の光を浴びてウトウトしている猫たちを見ると、時間に追われずのんびりと作品鑑賞しようという気持ちになるのは、この島ならではかもしれません。

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男木島のネコたち

 

こうして今回巡った3島だけを比べても、生活環境、自然風景など特徴の違いがはっきりと実感できました。同じ瀬戸内海に浮かぶ島でも、それぞれの島の個性を十分に活かして作品展開しているんですね。次は夏期開催に参戦し、またレポートしたいと思います。

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高松-女木島-男木島をめぐるフェリー