#356 製粉ミュージアム

2012年11月12日(月)、群馬県館林市に製粉ミュージアムがオープンしました。この聞きなれない製粉ミュージアムとは、製粉(小麦・小麦粉)をテーマにしたユニークな企業ミュージアムで、これは大手製粉会社である日清製粉㈱が、その発祥の地である館林に建設しました。規模の違いはあるにせよ、一応同業者であるので、何が何でも見ておかなくてはと思いたち、先日上京ついでに足を延ばして見学してまいりました。

館林は浅草から特急列車でたったの1時間。改札を出て左を向くと、すぐに「製粉ミュージアム」と書いた大きな横断幕がで~んと現れます。その存在感が館林市にとって如何に大きいかがよくわかります。階段を降りて左を振り向くと、そこはもうミュージアムの入り口、つまり駅から徒歩0分のところにあります。できたてほやほやの建物なので当然と言われればそれまでですが、それにしても素晴らしいミュージアムで、中小製粉ならこの建設費だけで立派な製粉工場が建つんじゃないかと、思わず要らぬことを考えてしまいました。

改札を出てすぐの横断幕

改札を出てすぐの横断幕

ミュージアム入り口

ミュージアム入り口

 

内部は最新式及び創業時代の製粉機が並べて置いてあるので、過去100年の技術革新がよくわかります。しかし同時に、小麦製粉の原理原則は変わりませんので、根本部分においては変わっていないというのも、また興味深い事実です。展示物の中に、ラグビーボールのようなものがあるので何かと思ったら、小麦粒の50倍模型でした。よく見ると、小麦を縦に走っている粒溝(クリーズ)や小麦の頭に生えている頂毛があるのがわかります。

新旧のロール機とシフター

新旧のロール機とシフター

小麦の50倍模型

小麦の50倍模型

 

右のロール機は、1908年(明治41年)にこの地に館林製粉㈱が新工場を建設したときのロール機だそうです。このロール機は館林での役目を終わるとその後、川越工場や神戸工場などに移管され活躍を続けたとありますが、当時ロール製粉機は大変高価であると同時に、ちゃんと手入れさえすれば半永久的に稼働し続ける機械であったからこそ、それが可能であったと思います。実際のところ弊社でも、他の製粉会社を渡り歩いた製粉機が、未だに活躍しています(#051)。
ところで製粉ミュージアムといえば、かなりの昔、1945年のことですが、アメリカの大手製粉会社・ゼネラル製粉(General Mills)が、製粉の歴史博物館の創設を企画したことがありました。そこでは古代から現在に至るまでの、先人達の尊敬すべき製粉技術の変遷が、実物大のジオラマとして展示される予定になっていました。実際、ミネアポリスにある本社ビルの隣接時が候補地として選定され、作業は順調に進んでいました。しかし誠に残念なことに、第二次世界大戦の影響により、建設費用や物資不足の問題が表面化し、この歴史博物館構想は1947年に中止を余儀なくされ、結局幻の製粉博物館となりました。

同じ屋根の下に、エジプト時代のサドルカーン(#187)、ローマ時代の石臼(#191)、そしてエバンスの製粉機械(#167)などといった製粉の歴史の流れがわかる展示物が一堂に会した光景は、さぞかし壮観であったに違いありません。日本でもいつかそのような本格的な歴史博物館が登場することを願って止みません。