#324 さぬきのうどん店はなぜ西高東低なのか?

先日地元紙(四国新聞2012.02.12)に香川県にあるうどん店の総数は808店舗との記事がありました。この店舗数については次回に検討するとして、今回は記事見出し「さぬきのうどん店は西高東低」という事実について考えてみたいと思います。香川県は日本一狭い都道府県ではありますが、それでも一応東西に長いので、3分割されていて東から東讃(とうさん)、中讃(ちゅうさん)、西讃(せいさん)と呼んでいます。つまり記事は「なぜか知らんが、うどん店は東讃よりも西讃の方が多いよ」と言っているのです。

ただこの地域3分割については曖昧な点もあり、恥ずかしながら東讃がいったいどこまでを指すのか私にはよくわかりません。で、調べたところ①高松以東(高松市を含めてそれより東の地域)という説と、②髙松を含まずにそれよりも東の地域という説があります(東讃)。独断ではありますが、香川県民の一般的な感覚からいうと、東讃というのは②に近いような気がします。つまり高松市は別格とし、それより東が東讃、西が西讃という具合です。

さて前置きが長くなりましたが、地域別うどん店密度を検証してみます。トップはこんぴらさんのある琴平町でなんと2.5店/1000人、つまり人口400人に1店の勘定になります。これは近隣住民の半分がきたとしても200杯しかなりません。うどん店以外の飲食店がないのか、それとも観光客が多いのか、何れにしてもこの高密度地域で営業しているのはすごいことです。2位は弘法大師が改修したことで有名な日本一のため池があるまんのう町、そして3位は弘法大師ご生誕の地である善通寺で、これらは全て中・西讃地域です。そしてそれに続く上位は全て中・西讃であり、香川におけるうどん店の分布は西高東低であることがわかります。

一般に中・西讃にうどん屋が多い理由としてよく挙げられるのが、昔あった水車の存在です。つまり昭和初期までは石臼を使った水車製粉が主体で、これらの水車は中讃部の綾川や土器川水系の多く位置していて、この近隣にうどん店ができたという説です。また昔は丸亀や綾川町といった中讃地域が小麦の産地であったからという理由もよく耳にします。しかしよく考えてみるとそういった話は今から1世紀も昔の話で、現在のうどん店分布図にとって大した説得力があるとも思えません。そこでもう一度香川県地図をみると、西高東低である理由がなんとなくわかるような気がします。

つまり先程の3分割の話に戻ると、私達さぬき人の感覚では、純然たる東讃地域というのは三木町、さぬき市、東かがわ市の3市町村だけなのです(尤も小豆島や直島も東讃ですが、島しょ部であるためになかなかピンときません)。そしてこれら3市町村の人口は11万人程度であり、これは香川県全人口の1割強にしか過ぎません。よって単純な人口比でいっても、東讃には808店の1割、つまり80店舗相当というのが自然です。単純に三分割というとなんとなく1/3程度ありそうな気がしますが実際は、それよりもずっと少ないのです。

ただそれでも島しょ部を除くと、「東讃地域の3市町村のうどん店密度は、14市町村中、10、13,14位と下位を独占している」というのも事実です。ただこれは地理的な理由によるものだと考えます。つまり中西讃は、隣県の愛媛県、高知県、徳島につながる交通の要衝であるために交通量が多いのに対し、東讃地域は隣の徳島市としか繋がりがないからだと考えます。つまり独断でありますが、うどん店舗の分布が西高東低である理由は次の2点であると:

①香川県人の感覚としては東讃は、さぬき市、東かがわ市、三木町の3市町村で、これらは人口は全体の一割強しかない。よって東讃にはうどん店が少ないのも当然。
②中・西讃は愛媛、高知、徳島へと続く交通の要衝であるので、当然交通量も多く、それだけ人口当りのうどん店が多くなるのは自然。