#280 HB(ホームベーカリー)を使った「風味たっぷり食パン」のレシピ

弊社では現在2台のHBが稼働中です。夕方、タイマー予約すると翌朝に、朝セットするとお昼に、そして午後セットしたのが夕方焼き上がるので、大抵は一日6斤の食パンを焼いています。もちろん全て食べるわけにはいかないので、来社された方や社員の皆さんにお持ち帰りいただいています。HBは4時間程かかりますが、いつもボタン1つで美味しい食パンができるので重宝しています。ただ唯一の難点は、過度の使用により焼き釜のテフロン加工がとれてしまうので、一年持たずして取り替える必要があることでしょうか。

ところで「HBを使ったときの食パンのレシピを教えてください」との問合せが時々ありますので、ここで簡単にご紹介いたします。といっても特別なレシピではなく、HBの取説に載っている「標準的な食パンのレシピ」とほぼ同じです。「ひまわり」は強力粉なのでほぼ取説通り、そして「ブラウワー」は粗挽きふすまが入っているので加水量が若干多くなるだけです。実際のレシピは次の通りです。

HBの取説レシピ ひまわりのレシピ ブラウワーのレシピ
小麦粉 強力粉250g ひまわり250g ブラウワー250g
バター 10g 10g 10g
砂糖 大さじ2杯(17g) 大さじ2杯(17g) 大さじ2杯(17g)
スキムミルク 大さじ1(6g) なし なし
小さじ1杯(5g) 小さじ1杯(5g) 小さじ1杯(5g)
ドライイースト 小さじ1杯(2.8g) 小さじ1杯(2.8g) 小さじ1杯(2.8g)
170(夏)~180(冬)cc 170(夏)~180(冬)cc 180(夏)~200(冬)cc

 

ここで使用する原材料について少し説明させていただきます。言うまでもなく小麦粉が食パンの主原料です。食パンに使用する小麦粉は、たんぱく質を多く含む強力粉を使用しますが、これは膨れたパンを支える力が強いからです。つまりアルコール発酵(#153)によって二酸化酸素が発生し、生地が膨れますが、その膨れた生地を支えるのがたんぱく質、つまりグルテンの役目です。たんぱく質が少ない中力粉や薄力粉では、ガスが発生しても保持力が不十分なので、パンは十分に膨らまず、よってふんわりとした食感にはなりません。

バターは生地潤滑材として機能し、風味や食感を改良します。また伸展性を良くし、ガスの保持性を強めるのでパンの膨らみも、バターなしと比べて少し大きくなります。砂糖はイースト菌の栄養源になるので、二酸化炭素の発生量が増し、パンがそれだけ膨れます。ちなみ同じHBでもフランスパンのレシピでは、砂糖を入れないので膨らみが弱く、全体に締まったフランスパン特有のリーンな仕上がりになります。またHBのレシピではスキムミルクが入っていますが、個人的には入れない方が自然な風味が感じられるので敢えて省きました。そして塩は、グルテンを引き締め強靭にするので生地がしっかりとします(これはうどん作りでも同様です)。

イーストの役割はパン作りにおいてとっても重要です。イースト中の酵素がアルコール発酵を促進し、生地中の糖分を分解し、二酸化炭素を発生させます。弊社でもパンが膨れず、ぺしゃんこになることが稀にありますが、それは決まってイーストの入れ忘れが原因です。また一度開封したドライイーストは、常温においては劣化するので必ず密閉した容器で、冷蔵もしくは冷凍保存します。

加水量についてですが、夏場は若干少なくします。うどんも同じですが、夏場は生地が柔らかくなるのでその分、加水量で調整します。またブラウワーについては、小麦ふすまが含まれている分、加水量を増やしてやります。つまり食物繊維は水分の吸着量が多いので、それだけふすまに水分が取られてしまうからです。ここにご紹介したレシピはあくまでも基本的なものです。後は皆さんでレーズンとかナッツなど好きな食材を入れてみて、色々なバリエーションをお楽しみください。