#260 大久保式超速うどん

「じゃり~ん♪」と電話が鳴ったので、受話器をとると、「私さ、東京の大久保って言うんだけど、実に簡単なうどんの作り方があるので、是非紹介したくてお電話しました」と会話がスタートしました。お話を伺っていると、大久保さんは退職されて久しく、現在の趣味はそば・うどん打ちです。そして単に自分で打つだけでなく、ご近所の小学校やPTAなどのイベントにも積極的に参加されています。ただ、大久保さんのうどん打ちのユニークな点は、ひたすらコシを追い求める本家本流のうどん打ちとは少し異なり、如何に「簡単に」、「早く」、そして「そこそこ」のうどんを打つかに主眼が置かれている点です。

氏曰く、「おいしいコシのあるうどんは手間暇かければ、打つことができるんだけどさ。でも小学生を相手に面倒なことを言ってもなかなか判ってもらえないんだよね。それに長くなると飽きてきちゃうんで、時間的な制約もあるんだよね」っと。そこで実践しているのが「大久保式超速うどん」(私が勝手に命名しました)で、以下その超簡単レシピをご紹介します 。

【大久保式超速うどん・大盛1人前】 
材料・・・うどん粉180g、熱湯(お湯も可)90cc
①うどん粉を入れたボールに、熱湯を少しずつ入れながら箸でかき混ぜる(いきなり手を使うと火傷するので注意!)。
②塊ができると、手を使って適当に捏ね、熟成させずにそのまま延ばして切る。
③お湯沸騰している鍋に、投入して8分程度ゆで、そのまま「釜抜き」で食べる。

以下この超速うどんの長短所を気づくままに列挙いたします:
【長所】 
①超速・・・氏曰く、「なんといっても調理時間が短いんだよね。お湯が湧いてると捏ね始めて15~20分でできちゃうよ」 。
②簡単・・・氏曰く、「これだと小学生でも簡単にできちゃうし、不意の来客にも即応できるんだよね」。
③清潔・・・氏曰く、「それにさ、最近マンションの中でうどん打つと、粉が飛び散ってさ、奥さんに怒られるけどさ、これだと大丈夫なんだよね」。
④労力軽減・・・氏曰く、「お湯で練ってるから生地が柔らかいの。だから子供でもお年寄りでも簡単に打てちゃうの」。
⑤無駄ゼロ・・・氏曰く、「切れっ端もそのままゆでるので、無駄ゼロのエコユデうどんなんだよね」。

【短所】 
氏曰く、「ざるにするとちょっと硬く感じるかな!」。

【総合評価】 
大久保さんは、「食感はさぬきうどんには遠く及ばない」と謙遜なさっていましたが、実際につくってみるとかなりイイ線に仕上がり、コストパフォーマンスを考えるとピカイチです。ポイントは「無塩(塩をつかわないこと)」、「湯捏ね(お湯で生地を練ること)」の2点です。無塩といえば【おっ切りこみ(群馬)】、【ほうとう(山梨)】、【味噌煮込みうどん(名古屋)】、【打ち込みうどん(香川)】などがあり、強いて言えば大久保式うどんもこの範疇にあります。一般に塩を加えることによって、うどんに弾力がでます。つまり無塩だと、どうしても羊羹やういろうのようなリーンな食感になるのはやむを得ず、特にざるにするとその傾向が強くでます。

でも良いことは山ほどあります。釜あげで食べると小麦の風味がしみじみと感じられ、特に良いのは茹で湯が塩辛くならないので、そのまま味付けが可能であることです。実際にやってみたところ、実に便利でした。何が便利かというと、これだと一つの鍋だけで、最後まで調理できるのです。つまり広い麺台は不要で、粉が飛び散らないので奥さんには怒られないし、鍋は一つでいいし、旨いし、手間暇かからないし、っと正に良い事とずくめなんです。後でわかりましたが、大久保さんには「誰でもできる手打ちうどん」という著作もあります。ご興味ある方は是非、ご一読ください。最後に私の調理例をどうぞ。

①捏ねて直ぐに延ばして切って、ゆでました

①捏ねて直ぐに延ばして切って、ゆでました

②8分経ったら、うどんに見合う分量だけのゆで湯を残し、残りは捨てる。その後濃縮つゆを添加(今回は肉風味)。

②8分経ったら、うどんに見合う分量だけのゆで湯を残し、残りは捨てる。その後濃縮つゆを添加(今回は肉風味)。

③いただきます。使った鍋が1個だけなので、後始末が超簡単!こね始めてからここまで僅か20分!

③いただきます。使った鍋が1個だけなので、後始末が超簡単!こね始めてからここまで僅か20分!