#216 武蔵野うどん@自宅

東京で武蔵野うどんのお店をやっている直美ちゃんから、「武蔵野うどんを送ってあげるから、試食してみまい」とうどんが届きました。先日は、越前そばが届いたし、最近はさぬきに居ながらにして全国のご当地麺を堪能できてごきげんです。武蔵野うどんは、これまで何度かご紹介したように、ちょっと色のついたうどんをつけ麺にして食べます。

以前この近くの製粉会社の社長さんが言うには、「いやぁね、こちらの方では白いうどんは、なぜか売れないんですよ。だから小麦粉もわざと少し黒くするんですよ」とのことでした。

届いたのはうどんが2種類と、お店特製のつゆ。同封のメモ(指示書)によると、うどんは相盛りといって少し黒いのと白いのとの2種類。だしはちょっと甘めのどちらかというと蕎麦つゆのようですけど、イリコも効いています。っで、指示書に「玉葱と豚バラを入れよ」とあるので、近所のA-COOPで買ってきました。玉葱は甘味を引き出し、豚肉は武蔵野うどんとは切り離せないです。

指示書は更に続き、「ゆで時間は10分30秒を厳守せよ」とあります。ただこの太さで10分30秒というのは、さぬきではちょっと考えられません。普通は15分はゆでたいところですが、ここは指示を守り、10分30秒で揚げました。武蔵野うどんの基本は、冬でもつけ麺ですが、水で締めるときは締めすぎないことがポイントです。噛んだときに芯にほのかに温もりが残っている位の感じがベストかと(勝手に思っています)。

ちなみに白い方は、ASWが主体に国産小麦少々ミックスしたもの。一方、色のついてる方は、農林61号+(ASWの2等粉)の組合せです。2等粉とは1等粉を採った残りの部分で色はかなり黒く、普通さぬきでは、2等粉をうどんには使用することはまずありません。理由はもちろん色が黒くなりすぎるからです。よって2等粉の用途は、黒くても支障のない蕎麦のつなぎ粉くらいです。しかし直美ちゃんは、「これ位の方が、こっちの人にはちょうど良いのよ」っと意に介しません。

自宅で調理した武蔵野うどん

自宅で調理した武蔵野うどん

で、いよいよ試食タイム。白い方は違和感ありませんが、もう一つの方は確かに黒いのでちょっと怯みがち。さぬきでは、こんな黒いうどんは売れない、というか実際にまだ見たこともありません。まず、白い方から。ゆで時間が短いためまだでんぷんが完全には糊化していない、つまりさぬきの感覚では煮えていません。箸で持ち上げても、真っ直ぐにならず曲がったままで繋がっています。それをつゆにつけて噛んでみると、硬いけど、不快な感じではありません。以前、直美ちゃんのお店で食べたうどんを思い出しました。味は遠い記憶を思い出させてくれます。

 

左:農林61号+(ASWの2等粉)、右:ASW主体

左:農林61号+(ASWの2等粉)、右:ASW主体

硬いけど、不思議に小麦の風味が口の中に拡がり、いかにも武蔵野うどんという感じです。黒い方は、2等粉が混じっているので、表面が完全に毛羽立ち、麺はボキボキですが、不思議と口の中にスイスイ入っていきます。本来ならえぐみが残る筈ですけど、この甘ったるいつゆと豚肉とが味をうまく調整しているみたいです。以前、武蔵野うどんツアーにいったときは、もっとゆで時間の短い、それこそ2~3分という信じられないような時間で打ちあげていたお店もありました。もうこうなったらうどんを「啜る」というよりは「かじる」といった方がぴったりですが、それでも妙に旨いんです。

ゆで時間が短いといったら、他にも富士吉田うどん、名古屋の味噌煮込みなど捜せば結構、ぞろぞろ出てきます。コシの強いのがさぬきうどんと我々は思っていますが、こういう「ゆで時間超短めうどん」に比べたら、さぬきうどんって本当に柔らかいと思います。うどんって小麦粉、塩、水しか使いませんが、日本全国本当に色々なうどんがあるもんだとつくづく思います。