#206 「さぬきの夢2000」後継品種・・・香育20号 vs. 香育21号

「さぬきの夢2000」の後継品種が現在開発中であると、以前ご報告しました(#109)。「さぬきの夢2000」は確かに「もっちり感」はあるし「旨み」も申し分ないのですが、ただ一つだけ欠点があります。それはタンパク質が少ないために生地の形成において「つなぎ力」が若干不足し、その結果うどんが切れやすくなることです。そのため「さぬきの夢2000」を使ってうどんを作るには、その限られたグルテン量を最大限に生かす必要があり、それには加水量をキチンと量り、熟成時間を正確に守り、また何より丁寧につくる必要があります。

しかしそうはいっても、うどん屋さんによっては猫の手も借りたいほど忙しいところもあって、わかっているけど、なかなかその製法手順が守れないところもあります。つまり使いたいけど、そんなこんなの理由で使えないのです。それではということで、さぬきうどんにばっちりで、しかも作業適性に優れた小麦を開発しましょうということになって、現在「さぬきの夢2000」の後継品種の開発が香川県農業試験場で進められています。というか、品種改良は既に終了したのですが、嬉しいことに有望系統が2種できあがり、開発元の農業試験場でもどちらにして良いのか決めあぐねています。そこで今年は試験的に2品種を高松市の農家で3haずつ試験栽培し、それを工場製粉したものでうどんを作り、香川県農業生産流通課、小麦生産農家、製粉工場、うどん店、そして関連しているみんなで考えましょうということになりました。そしてその2品種が香育20号と21号です。

っで、先日あるうどん屋さんで、「1000人無料試食アンケート大会」と銘打ってその両方を食べさせてくれる催しがあったのでいって参りました。当日は「かけうどん」もしくは「ざるうどん」のどちらかを選ぶようになっていて、我々4人のグループは仲良く両方に分かれました。既になんどか試食していたので、どっちがどっちであるかはすぐにわかりましたが、問題はそれぞれが全く性格の異なる品種なので、各個人の好みも分かれ、意見がまとまらないことです。簡単に両者の特徴を挙げると:

香育20号・・・きれな小麦色の淡黄色が食欲をそそる。コシも強さと歯切れの良さを兼ね備えています。
香育21号・・・どちらかというと現在の「さぬきの夢2000」によく似ていて、コシというか粘り強い食感が特徴。麺も旨みはこちらの方が少し深いような感じです。

それぞれに特長があり甲乙つけ難く、またそれぞれの方向性が異なるだけに、アンケート会場でも意見が真っ二つに分かれていたようでした。折しも夕方のテレビニュースで見かけるレポーターのお姉さんも来ていて試食をされていました。後で夕方のニュースを見ると、お姉さんはうどんを一、二本啜っただけで、「うん、こっちは○○だから20号で、こっちは△△だから21号ね、きっと」っと素晴らしい分析力を披露されていました、というかしっかり予習ができていたんですね。また21号を指さし、「こっちが『さぬきの夢2000』のバージョンアップ版ですね」というの聞き、「お姉さん、上手いこと言いよるなぁ」と感心しました。

ただ後継品種の決定にあたっては、両者の単純な比較だけでは決定できないところもあります。というのは現在さぬきうどんの原料小麦はASW(オーストラリア産)が主体ですが、こちらとの関連性も留意する必要があると考えます。つまり「どちらのうどんも良く似ていて美味しい」よりも「どちらも美味しいけれど、それぞれに個性がある」方がお互いの小麦にとっても良いはずです。そう考えると答はなんとなく見えてくるような気もします。そして次期後継品種は今月30日に開かれる「さぬきの夢推進プロジェクトチーム検討会」で決定されます。