#198 平成21年産「さぬきの夢2000」・・・大幅減少!!

今年の「さぬきの夢2000」の生産量が確定したのでお知らせします。結論からいうと収穫予想数量5700㌧のところが実際は3150㌧、これは率にして55.2%と大幅な減少となりました。また昨年の5,990㌧と比べても52.6%と約半分に落ち込みました。「昨年の半分しか獲れないと大変じゃないか!?」と心配する声も聞かれますが、昨年が豊作であったため、まだ旧穀の在庫もあるし、うどん店への供給はまず問題ないと思いますのでご安心ください。ではなんで予定の半分しか獲れなかったのか、その理由を簡単に説明いたします。

実は、画像からもわかるように作付面積は、平成20年産が1,590ha、平成21年産が1,475haとそんなに大差はありません。では何がどうなったのか?主因は、冬場の降雨が多かったためです。さぬきでは播種(種まき)は通常11月下旬におこないますが、このとき雨が多かったので播種が遅れ、一部には年明けまで延びたものもありました。だからその分成長も遅れます。またそれ以上に1~2月にも多雨であったため、充分に「麦踏み」ができなかった影響が大きいと聞きます。

麦踏みといっても、現在は人が実際に足で踏むのではなく、ローラを上からかけてやります。「麦踏み」をすることによって、凍上害(土中の水分が凍結して地面が盛り上がることによる被害)の回避、耐寒性や耐乾性の向上に加えて根長・根数が増加して、その結果「分げつ(枝分れ)」が多くなります。つまり簡単にいうと麦踏みをすることによって株数が増えるのですが、今年はその適期に雨が多く、畑がぬかるんで麦踏みができず、よって分げつが不足し、最終的に収量が前年の半分近くにまで落ちたということです。

「さぬきの夢2000」は平成14年に量産を開始し、その後はずっと右肩上がりを続けてきましたが、今年は初めて減少、それも大幅な減量となりました。まあ農作物なので天候などの自然環境によって出来不出来が左右されるのは仕方ないことです。小麦大国オーストラリアでされ最近は2年続けての干ばつで生産量が減少したのは、記憶に新しいところです。

ただ朗報は、量は少ないものの品質は良好であるということです。国産小麦は品質の良いものを一等麦(いっとうばく)、その次のランクのものを二等麦と言い、一等麦比率が高いと小麦全体の品質も高いことになります。昨年の一等麦比率は、57.5%でしたが、今年は90%程度と品質は非常に良好です。分げつが少なかったものの、春以降の生育が非常に順調に推移したことが、高品質につながった理由です。今年収穫されたH21年産「さぬきの夢2000」は秋以降、市場に出荷される予定です。

ところで画像をよくみるとH21産の中に、「後継候補6ha」というのがあります。これは現在「さぬきの夢2000」の後継品種を選定中で、そのために播いた小麦です。具体的には現在、「香育20号」と「香育21号」が後継品種として選定され、今年どちらも10㌧程度ずつ収穫されました。これを9月に実際に製粉工場で製粉し、それを県下のうどん店で実際に比較試験をしてもらい、その結果この2品種のうちどちらかを後継品種として決定します。現在の「さぬきの夢2000」の唯一の欠点とされる「たんぱく質不足」問題も新品種では解消されるので、今後ますます期待できそうです。この後継品種については、後日改めてお伝えいたします。