#134  小麦価格高騰して大変ですけど・・・ASW価格の推移

連日連夜、テレビで取り上げられたせいか、小麦価格高騰のニュースは全国津々浦々に浸透したようです。原油の高騰に端を発した諸物価高騰ですが、穀物の世界においては、バイオエタノール、発展途上国の需要増大、干ばつ、投機マネーなどの要因が複雑に絡み合っています。うどん用小麦の主力銘柄であるASWは昨年に5%、10%、そしてこの4月には30%と、累計では50%以上の値上げとなりました。

この結果さぬきのうどん屋さんも軒並み、値上げやむなきに至り、一杯100円のうどんは、流石に姿を消しつつあります。小麦粉だけでなく、他の原材料の値上げも大きく、うどん屋さんにとってはこれからどうなるか、悩みは尽きません。

ただ、これだけ値上げが続くと、みなさんは「シカゴの穀物相場と同様、日本国内の小麦価格も、史上最高値を更新し続けている」と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。次のグラフは、ここ最近のASWの販売価格の推移です。これからわかるように、価格は1984年の80,030円/tが最高で、それ以後は、過去20年以上にわたり、下がり続けてきました。その主たる理由は、輸入小麦に大半を依存する現状において、1$=360円の固定相場から、現在の1$=100円近くまで円高が進んだことによるものです。だから小麦粉は鶏卵と同じ物価の優等生で、これだけ上がっても、まだ低価格圏にあると言えなくもありません。

現在の状況は、第一次オイルショックが原因の狂乱物価(1974年)のときと酷似しています。当時のうどん関連のスクラップを捜してみたら次のようなものが見つかりました:
「今年1月から小麦粉がいっぺんに37%の値上がりとなった」

「高松のうどんも今年に入ってから大分値上げされた。原料が上がったから仕方ないと言っては済まされない」

「ある有名な高松の業者の一人は『さぬきうどんももう来るところまできた。もううどんもおしまいですよ』と深刻な顔をして言った」

などなど。

しかし、あれから30年以上経過し、どうなったかというと、さぬきうどんは当時より更に全国区になりました。これはうどんの生産高や出荷量などのデータ(新着情報#088)からも明らかで、これもひとえに先人達の努力の賜物です。だから今回だってあまり悲観的になる必要はないと思うし、がんばればきっと乗り越えられると思います。

4月8日の日経新聞には次のような記事がありました。「市場最高値を更新し続けていた小麦の国際価格が、二月に13.345ドルの最高値をつけてからは、下げ基調に入った。小麦はピークから27%下落した。これは米国では小麦作付が、増えており、供給増が確実なためだ」。だから事態ははそろそろ沈静化する頃かな(そう思いたいね!)。