#048 おそるべし富士吉田うどん

前回、富士吉田市に行ってきたといいました。ここには近年、有名になってきた「富士吉田うどん」があります。聞きかじったところを総合すると、その特徴は:

●富士山の伏流水を使用した、チョー硬い食感。

●うどんに添える、たっぷりの茹でたキャベツ。

●ゴマ、油、醤油、味噌、唐辛子などでつくった「すりだね」とよばれる薬味、などなど。

( 吉田うどんの詳細 ⇒ https://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=362 )

色々説明したいことはあるんですけど、とりあえず一番びっくりしたのはそのうどん店の数の多さです。うどんマップ(下記参照)をみればわかるように、現在富士吉田市には64店のうどん屋さんがあります。富士吉田市の人口が 53,695 人( H18.4.1 現在)なので、これから人口 1000 人あたりのうどん店密度を計算すると、 1.19 店 /1000 人となります。

( 吉田のうどんマップ ⇒ https://www.city.fujiyoshida.yamanashi.jp/forms/info/info.aspx?info_id=449 )

この数字がどのくらいすごいか、それはさぬきのうどん屋さんと比較すれば一目瞭然です。現在、さぬきには 700 店とも、 800 店とも言われるうどん屋さんがあります。香川県の人口は約 100 万人なので、仮に 800 店とすると、うどん店密度は 0.8 店 /1000 人となります。またここ瀬戸大橋のたもと、坂出市について言えば、タウンページに載っているうどん店は45店。坂出市の人口は 57,007 人なので、うどん店密度は 0.79 店 /1000 人と、大体県平均と同じになります。いずれにしても富士吉田市のうどん店密度は、さぬきの約1.5倍であることがわかります都道府県別のうどん店密度では、香川県がぶっちぎりの首位であることを考えると、この富士吉田市の数字がいかにすごいか、わかるでしょ。

実は、香川県も一昔前は、うどん屋さんの数は 3000 店ともまた 3500 店とも言われました。これは当時ほとんどが、小規模な玉卸しのうどん屋さんで、私も小さい頃は、近所にいくつかの小さなうどん屋さんがあったのを記憶しています。普通の民家を間仕切って、そこで一日数百玉だけのうどんを打っていたんです。ところが今では、比較的規模の大きなセルフ店やチェーン店が増え、小さな玉卸の製麺所は廃業し、結果としてうどんの消費は増えたのに、逆にうどん店の数は減りました。

規模拡大が進むと、どうなるか?機械化が進み、今まで手でやっていた「水回し」はミキサーになり、「延ばし」は、ロールで一気に「ぎゅっ」と延ばします。すると当然、それまでとは違ううどんができます。機械には機械の長所がありますが、省力化だけを考えて導入するとよい結果はでません。有名店でも、安易に大きくして評判を落としたお店もあります。いわゆる粗製濫造です。

これは逆に考えると、次のように言えるかもしれません。

    うどん店密度が大きい。
⇒ 店の規模が小さい。
⇒ 生産量が少量。
⇒ 機械化されてない可能性が高い(だって少ない売上げで高額の製麺機械は買えないでしょ)。
⇒ 多分おいしい手作りうどんだろう 。

つまりこのうどん店密度の高さから察するに、「吉田うどんには、まだ古き良き時代の手作りうどんが残っているらしい」ということになります。山梨県といえば、これまで「ほうとう」しか思いつかなかったんですけど、おそるべし、富士吉田うどん!