#034 航空運賃の謎

現在の高松空港は、1989年(平成元年)12月16日にオープンし、その後東京出張は、飛行機で日帰りというパターンが普通になりました。それまでは新幹線が主流で、学生時代はいつも名古屋を過ぎてからが長くて、お尻が痛くなったことをよく覚えています。でもね、それでも瀬戸大橋ができる前は、もっと大変だったんです。高松から宇高連絡船(宇野⇔高松航路)、宇野線(宇野駅⇔岡山駅)を乗り継ぎ、坂出→岡山が3時間かかっていたので、東京までは、正に一日仕事だったんです。でも、1988年(昭和63年)4月9日に瀬戸大橋線が開通すると、坂出→岡山がたったの45分になり、ずいぶんと東京が近くなったと感じました(善し悪しは別ですけど)。

平成17年の高松空港の利用者数は、年間約150万人、このうち東京便の利用者数は129万3146人(高松空港事務所で裏をとりました)なので、高松空港は他の地方空港同様、東京行きのためにあると言えます。現在、坂出駅→東京駅(片道)がJRで16,300円に対し、高松→羽田は、一般的な得割で2万円強(時間にもよりますけど)となり、20%程度の価格差なのでほとんどは飛行機を利用しています。そして当然ですけど、往復運賃は約4万円となります。

さて、問題はここからです。上記の往復チケットは、正確に言うと高松を起点にしたときの往復運賃です。ところが羽田を起点にすると、正規運賃はほぼ同じですが、格安運賃を捜すと2万7000円位のものが見つかります。約35%の割引です。お恥ずかしい話ですが、つい最近までこの事実を知りませんでした。調べてはいませんが、これは多分他の地方空港についても同じだと思います。では、なんで物価の高い東京の方が、そんなに安いのか?以下はその理由の勝手な推測です(ので保証はありません)。

高松から東京にいく理由は、ほとんどが仕事です。当社で言うと、中小製粉会社の会合、また営業もたまには東京にいって、お客さんであるうどん店を訪問してきます。いずれにしてもほとんどは仕事がらみの出張です。東京に「更科そば」とか「江戸前にぎり」だけを食べに行く人はいない、とは言いませんが、多くはありません。つまりほとんどは東京には行かなければならない理由があって、行くのです。

ところが、羽田→高松は必ずしもそうでは、ないんですね。勿論、高松支店があるからとか、営業にいくからということもありますけど、高松→羽田ほどの需要はありません。だから上り方面だけの需要では、どうやっても採算割れするので、なんとかして下り方面の需要も開拓する必要があるのです。ここに羽田を起点とした特別運賃が開発された理由があると考えます。早い話、必要なところあれば少々高くても、行くけど、どちらでもいいところは、高いと敬遠されます。だから「安かったら行ってあげてもいいよ」と感じている浮動層をすくいとって、乗ってもらった方が営業的にはプラスになります。

東京って物価が高いのにもかかわらず、こんなチケットが安く手に入るのはなんかしっくりしませんけど、事情を考えると結局は仕方ないんです。となると一番、割食ってるのは、こっちから東京ディズニーランドへ遊びに行く人たちかも・・・。でも、更に一歩考えると、本当は採算目的だけでは空港なんか建設できるわけないし、別に空港に限らず、公共事業、道路など、地方はずいぶんと税金の恩恵を被っていることになります。

結論:
さぬきうどんブームも落ち着いてきました(うどんバブルが弾けたという声もありますけど・・・)。
首都圏の皆さん、格安チケットを入手し、一杯100円のうどんを、いっぺん食べにきまい!!